御坊署の新人警察官が10日、51年前に2人の警察官が犠牲になった由良町阿戸の現場に建つ殉職者慰霊碑を訪問し、受傷事故防止と一層の努力へ気持ちを新たにした。

 同署によると、1969年2月9日午前1時ごろ、「交通事故を起こし、示談で紛糾している」との通報を受け、小山眞之警部補(当時32歳)、新家文孝警部補(当時24歳)らが、阿戸の里トンネル南約50㍍の国道42号で発生した交通事故現場に急行。その後、1時50分から3時10分までの間、実況検分を実施し、3時20分ごろ、関係者らとともに帰署しようとした際、トンネルから出てきたライトバンが警察官の姿を見た直後、トンネルから約10㍍離れたところで停車した。

 不審に思い、車を挟む形で警察官2人が交通整理をし、小山、新家両警部補が運転者に職務質問を開始したところ、いねむり運転の車が突っ込んできた。

 誘導中の警察官は「危ない、逃げろ」と大声で叫んで知らせ、東側の土手下約5㍍に飛び込んで避けたが、職務質問中の小山、新家両警部補は逃げる間もなく、暴走車両は小山警部補をはね飛ばし、新家警部補を車の下に巻き込んで約20㍍引きずって停止した。

 病院に搬送されたが、新家警部補は頭蓋底骨折等で即死。小山警部補も頭蓋底骨折等で収容後に間もなく死亡が確認され、その年の11月に慰霊碑が建立された。

 今回の訪問は同様の事故防止へ意識を高めてもらおうと実施。今春の採用で警察学校を卒業、10月に配属されたばかりの千原大輝巡査(23)=御坊市岩内出身=が訪れ、高野槇と線香をあげて敬礼、手を合わせ、「大先輩が命を落とされたことを忘れず安全を心がけ、立派な警察官になれるよう努力したい」と気を引き締めていた。

写真=慰霊碑に向かって敬礼する千原巡査