印南町印南と山口地内で20日午前10時ごろ、竜巻とみられる突風が発生した。県の発表によると、特産のミニトマトやスターチスを栽培するビニールハウス62棟が被害に遭い、うち19棟が全壊。20日現在、被害総額は4334万2000円に上っている。生産農家はコロナ禍の影響もあり追い打ちとなる突然の自然災害に頭を抱えている。

 町企画産業課によると、突風は印南地内の海に面した岬のようになっている通称「畑野崎」から北東に向かって移動し、国道42号を越えて町土地改良区事務所付近を通り、印南中学校西側を抜けて山口地内まで到達したとみられている。付近は畑地帯総合整備事業の農地が多く、被害面積は約1・6㌶。現場では突風の通り道を示すようにビニールハウスが連なって倒壊しているほか、ビニールが破損したり、パイプが折れ曲がったりしていた。

 被害額の内訳はパイプハウス3812万5000円、スターチス232万2000円、ミニトマト196万9000円、キヌサヤエンドウ92万6000円。このほか、民家のカーポートの屋根が吹き飛ばされたなどの被害も確認されている。

 土地改良区事務所近くのビニールハウスでキヌサヤエンドウを栽培している濵中芳光さん(67)=印南=は、突風が発生したとみられる時間帯はかえる橋付近におり、「突風を見たわけではないが、雨が降って雷が鳴り、飛行機が落ちたような『バリバリ』という凄まじい音がした。私が所有する10㌃のビニールハウスのうち、半分がやられた」と肩を落としていた。また、付近住民の中には「窓から外を見ると、風が渦をまいていた」との話もある。

 竜巻や激しい突風(ダウンバースト)は発達した積乱雲によって発生。和歌山県では20日、前線を伴って発達していた低気圧の影響で、広い範囲で風雨が強まっていた。和歌山地方気象台では今回の突風の風速は約40㍍と推定しており、「竜巻の可能性もある」として調査している。

写真=突風で倒壊したビニールハウス