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わたし、定時で帰ります。 朱野帰子著

 デジタル系のマーケティング活動の支援やコンサルタントを行う会社で働く主人公・東山結衣。「会社で死ねたら本望」と、毎日仕事の帰りが遅かった父親を見て育った結衣のモットーは、「無理はしない」。そして同じモットーを持つ恋人・諏訪巧からプロポーズされ、彼と結婚して穏やかな結婚生活を送ることを夢見る。そんな結衣の楽しみは、定時で上がって中華料理屋・上海飯店がサービスタイムで提供しているビールを飲むこと。しかし、新しくチームマネージャーとして福永がやってきてから、結衣の定時で帰宅する毎日が少しずつ脅かされていく…。

 病気だろうが事故に遭おうがどんなときでも出勤する、皆勤賞が自慢の三谷。キャリアのため産後すぐに復帰し、夫に子育てをすべてまかせて働きまくる賤ヶ岳。自分に自信がなく仕事も非効率なため、会社に寝泊まりし深夜ひっそりと仕事をする吾妻。何かあればすぐに「辞めようかな」を口にする新人の来栖。結衣よりも仕事を選び、過労で両家顔合わせをすっぽかして別れることになった元恋人の晃太郎。そして、晃太郎が以前働いていた会社の社長で、晃太郎を過労に追い込んだ原因をつくった福永。彼らと働くうちに、結衣のモットーや彼らの考え方が少しずつ変化していく…。

 本作品はお仕事小説ですが、一般的なOLにスポットを当てて「働き方」をテーマにしているところがポイント。「あー、こういう人いるいる」という感じで気軽に読めますし、「働くこと」を考えさせられる作品だと思います。働き方に対しての意識は一人ひとり違うので、「こういう考えが正しい」というのはありませんが、本にあるように制度だけでは駄目で、みんなの意識が変わらないと本当の意味での働き方改革にはならないのかなと思いました。(米)

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