日高町の今年度の文化賞が決まり、文化賞に小浦出身で東京在住の画家宮本秀信さん(74)が選ばれた。「人間のいる絵」「生活のある絵」の理想を追求しながら制作活動を続けてきたことが認められた。功労賞には20年間にわたって子どもたちに読み聞かせなどを行っている「ひだかおはなしの会」(野田ち代代表)。ほか、奨励賞には2個人が選ばれ、11月3日、中央公民館で表彰式が行われる。

 宮本さんは1946年生まれ。日高高校を卒業後、18歳で上京し、武蔵野美術大学に入学。森芳雄、麻生三郎という戦後の洋画界を代表する画家の薫陶(くんとう)を受け、画家としての基礎を築いた。絵画教室で生計を立てながら、約50年間、ひたむきに描き続けた画業は逆風の時もあったが、「人間のいる絵」「生活のある絵」の理想を追い求めた。

 87年、現代画廊での個展を実現。希望と絶望のなかで生きる人間の営みや安らぎをもたらす自然への尽きぬ思いを描き続けている。東京などで個展を開催しているほか、05年に第12回新作家展で協会賞を受賞。「ふるさとの日高町から表彰していただき、大変うれしく思います。今後の励みにもなります」と喜んでいる。

 ひだかおはなしの会は01年、中央公民館お読み聞かせボランティアの募集で集まった11人でスタート。設立以来、中央公民館の和室で毎月第3火曜に乳幼児を対象とした読み聞かせやペープサート、パネルシアターなどを行っている。開催の前週の第2火曜には打ち合わせを行い、絵本の選書や行事等の入念な下準備。季節に応じたイベントも催し、七夕飾りを作ったりクリスマス会を開いたりして子どもたちを楽しませている。ほか、町内の3小学校を訪問し、昼休みに読み聞かせなどにも取り組んでいる。秋には読書指導も行い、地域社会に貢献している。野田代表は「身に余る光栄です。みんなでボランティア活動を続けてきた甲斐がありました」と話している。

 奨励賞にはみはま支援学校高等部3年の船代大悟さん(荊木)と紀央館高校3年の前田美琴さん(高家)が選ばれた。船代さんは世界各国の障害を持つ人たちの作品コンテスト「パラリンアート世界大会2019」で、書の作品が島田涼子賞(審査員賞)を獲得。今年2月の書初コンクール(日本教育書道研究会)でも準特選を受賞した。

 前田さんは高校の美術部に所属し、部活をほとんど休まず熱心に制作に取り組み、福知山市佐藤太清賞公募美術展で入賞するなど活躍した。

写真=文化賞を受ける画家の宮本さん