第74回県美術展覧会(県展)工芸部門で、北垣信江さん(72)=日高町志賀=の陶芸作品が最優秀賞を受賞した。2007年の初出品で奨励賞を受賞して以来何度も佳作や入選を重ねてきたが、最優秀は今回が初めて。「とてもうれしく思います」と喜んでいる。そのほか日高地方からは同部門で3人が入選。県展は来年1月、和歌山市の県立近代美術館と県民文化会館で開かれる。

 北垣さんは50歳の時から陶芸を始め、初めて県展へ向けて制作していた時に次女が病気で他界。あまりに悲しく県展どころではなかったが、陶芸仲間が手続きして出品してくれたところ、2位に当たる奨励賞(現在の優秀賞)を受けた。それ以来創作に励み、5年前には京都で開かれる女流陶芸展に出品。見事女流陶芸大賞を受けた。

 今回の県展出品作品のタイトルは、「青の音」。高さ70㌢、幅50㌢ほどの大きな壺のような形のオブジェで、口は円形でなく細い線のようにすぼまり、花などを生けるようにはできていない。「トルコ釉薬」という美しい青色に仕上がる釉薬を使っており、正面には2つの円、背面には三角や四角の模様を幾つか入れて、リズムを感じさせるデザインになっている。

 「頭に浮かんだイメージの通り、思うがままに楽しんで仕上げました。そんな作品が高く評価していただけて、本当にうれしく思っています」と喜んでいる。

 そのほか日高地方からは、大堀由美さん(美浜町)、阪口敏子さん(御坊市)、日裏幸代さん(印南町)が入選した。他の部門は後報。

写真=最優秀賞の受賞が決まった北垣さん