みなべ町の梅干し生産者や加工業者の有志グループが、世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」を全国にPRしていこうと、同じ世界農業遺産に認定されている石川県能登地方の名産「能登の塩」を使った梅干し作りを行っている。農業遺産のコラボ梅干しで、今月中にも試作品が完成する予定。今後は能登の住民や若者同士の交流にもつなげる計画で、みなべ町から全国へ農業遺産の魅力を発信していく考えだ。

 中心となって事業を進めているのは、みなべ町谷口で学習塾を経営している東亨さん(40)、晩稲の㈱岩本食品の岩本智良社長(39)、岩代で梅を栽培している中早大輔さん(38)の3人。東さんが、新型コロナの影響で休校中の教え子の大学生から「生まれ育った地域のために何かできないか」と相談を受けたことがきっかけ。会社を立ち上げ、みなべ町の魅力を発信していこうと、㈱Uumy(ウーミー)を立ち上げて、世界農業遺産に認定されている梅システムをPRすることを企画した。まちの活性化に取り組む中早さんが、世界農業遺産同士がコラボした商品を作ってはとアイデアを出し、梅干し作りに欠かせない塩に着目。石川県北部の能登半島では4市5町に広がる「能登の里山里海」が世界農業遺産に認定されており、「能登の塩」が名産なことからコラボ梅干しを試作することにした。「能登の揚げ塩」を取り寄せ、中早さんが栽培した南高梅を岩本食品で漬けており、大学生らも加わってパッケージ等もデザイン中で、まもなく完成する。

 事業は、みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会の住民提案型地域活動支援事業を活用して進めている。9日には3人が役場職員を交えて今後の展開について打ち合わせ会議を開いた。3人からは「試作品はみなべ町と能登で配布や試験販売をしてPRしていきたい」「今後は能登の住民との交流、とくにSNSを使って発信力のある大学生同士が交流する機会を作っていきたい」などと意見が出された。発案者の中早さんは「能登の塩のファンは多く、そういった人たちに梅干しや梅システムについて知ってもらいたい。能登地方だけでなく、将来的には全国の農業遺産認定地域と交流し、みなべの魅力を伝えて活性化につなげたい」と話している。

写真=今後について意見交換する左から東さん、中早さん、岩本さん