美浜町の吉原遺跡発掘調査現地説明会が12日、吉原地内松原小学校の南東約260㍍、県道柏御坊線南隣の調査現場で行われた。地域住民ら54人が訪れ、弥生時代の土器や古墳時代の須恵器などの出土品、人間が暮らした痕跡などを見学し、2000年以上の遥か昔に思いを馳せた。

 主催は、調査を担当した公益財団法人和歌山県文化財センター。新浜集会場新築工事に伴う調査で、2カ月間かけ保安林の松を伐採した用地約720平方㍍で発掘調査が進められてきた。

 発掘調査のための工事は和田の塩﨑工務店(塩﨑祐司代表取締役)が担当。説明会は、県文化財センターの田之上裕子技師が発掘現場見学を案内し、30~60㌢ほど掘り下げて見つかった遺構(人間が生活していた痕跡)や土坑、弥生時代の鉢などを紹介。まだ半分埋まった状態の古墳時代の原型をとどめた須恵器については「『はそう』といって、水や酒など液体を注ぐために使用されるもの。割れて捨てられたものではなく、墓地へのお供えなど、故意に埋められたものと考えられます」と説明した。

 由良町畑の男性(87)は「興味があったので見に来ました。少し掘り下げた地面に2000年前の人の暮らしが見えると思うとロマンを感じます」。

写真=発掘現場で田之上さんの説明を聞く参加者