印南町教育委員会は2日、日裏勝己町長に「町立中学校の適正規模に関する教育委員会の考え」を報告した。町内4中学校の生徒数が減少している中、校舎の津波浸水と土砂災害地域を解消し、各学年の2学級編成ができるよう「4校を1校に統合することが望ましい」との考えを示しており、統合後の校舎については「新設」を求めている。

 教育委員会では日裏町長から「学校の適正規模を検討してほしい」との指示を受けて、2017年12月の定例会を皮切りに協議を重ね、今年8月の定例会で最終的な考えをまとめた。

 それによると、印南、切目、清流、稲原の4中学校の生徒数は2019年7月1日現在、224人。今年度は231人に増えているが、来年度以降は減少傾向が続き、25年度は193人、31年度は166人にまで減少する見通し。

 昨年9月に実施した子ども・子育て支援計画のアンケートでは、小学校の保護者61・9%、就学前の保護者67・4%が「統合が必要」と回答。さらに校舎についてはいずれも津波浸水区域、または土砂災害の区域にあり、印南と清流は築20年が経過して老朽化も進み、改修工事が必要となってくる。

 教委の話し合いでは2校に統合する案も出されたが、自然災害を回避し、2学級編成を実現できるよう、4校を一気に1校に統合する考えで一致した。統合のコンセプトは「一人一人を大切に。いなみから国際化へ~学校・地域の活気とICT、英語教育の充実による人材の育成~」。統合した場合、既設の4校はどこも教室不足となるため、校舎の新設を要望。候補地については特に挙げていない。

 平尾潔司教育長は「『子どもたちにとって、よりよい教育環境、学習環境とは』という視点で検討してきた。町民、保護者、町議会議員の皆さま方に、これから適正規模に関する議論を始めていく資料として提起させていただいた」と説明。日裏町長は「住民、保護者の声を聞くなどして、しっかり検討していきたい」と述べるにとどめたが、今後本格的に統合の議論が始まっていきそうだ。町内では1999年4月、真妻中と切目川中が統合して清流中が誕生し、現在の4校体制となっている。

 今回の教委の報告の中では町内4小学校についても触れられており、「低学年はきめ細かく丁寧に、児童の発達段階を踏まえた教育を」「地域コミュニティの果たす役割が大きい」などとし、「小学校は当分の間、現状を維持する(統合しない)ことが望ましい」としている。

写真=日裏町長㊧に平尾教育長と教育委員が報告書を提出