中小企業の自然災害に対する事前対策(防災・減災対策)を促進するため、昨年7月に改正された中小企業強靭化法のなかで創設された認定制度「事業継続力強化計画」の策定講座が25日、美浜町商工会館で開かれた。主催は日高郡商工会広域協議会。15事業所の経営者らが参加し、災害時に安全を確保しながら事業を継続するための第一歩を考えた。

 事業継続力強化計画認定制度は、国が推進する事業継続計画(BCP)策定の前段階のステップ。感染症を含めた災害時、事業継続意志のある中小企業が、災害対策の課題やリスクを考え、3年以内にどのような対策をとっていきたいか検討し、被害を最小限に抑え、危機的状況が発生しても事業を継続させるため迅速に行動できるよう準備しておく。

 講師は紀陽銀行のコンサルティング部門会社の元事業部長で、NPO法人事業継続推進機構理事を務めるクロスパートナー㈱の黒川久生代表取締役。黒川さんは、事業継続力強化計画の認定を取得すると受けられる税制優遇や、ものづくり補助金の優先採択などのメリットを紹介。同強化計画の策定方法では、ハザードマップを活用し、自社のリスクを確認、人命安全確保など初動対応を検討、社内の動きを人、物、金、情報の4つの分野に分け、それぞれの対応方法を考えると説明し、「事業継続力強化計画の認定は、メリットしかないので、この機会に災害時の自社状況を想像し、事業が継続できるよう考えるきっかけにしてください」と呼びかけた。

 参加者は、自社のリスクや課題について認識を深め、具体例などを参考に災害後の対応や平時の訓練や備えなどを検討し、申請書の作成も行った。

 印南町で農業をしながら、野菜やオリジナル商品をインターネット販売もしているカワバタファームの川端宝子さん(45)は、「認定を受けるための申請書の書き方が具体的で分かりやすかった。災害後の対応などを考えて申請したいと思います。ものづくり補助金を受けたかったので、優先されるのもうれしい」と話していた。

写真=事業継続力強化計画認定について説明する黒川さん