由良町吹井、畑山造船株式会社(畑山彰夫代表取締役)で大型タグボート(曳船)が完成し、7日朝、現地で進水式が行われた。発注者は三洋海事株式会社(小磯潮代表取締役、大阪市)で、船名は「たかはま丸」。今年1月24日に起工式が行われて以来、同社の高い技術で仕上げられた。今後は名古屋港などに配備される。

 タグボートは曳船とも呼ばれ、港内などで小回りの利かない大型船を安全に離着岸できるよう、ロープでけん引したり船先で押したりして誘導や補助を行う。小さいながらも馬力が大きく、小回りが利くというのが特徴。

 今回建造された「たかはま丸」は、全長32・8㍍、幅9・5㍍、深さ4・29㍍、船体の重量は396㌧。2000馬力の主機関(ヤンマー製)2基を搭載し、速力は14ノット、曳航力54㌧。レーダー、潮流計、国際船舶自動識別装置など最新鋭の機器を備えている。今後は曳航力テストなどを行い、今月末に引き渡され、名古屋港を中心に伊勢湾などに配備される。

 進水式には関係者ら11人が出席。衣奈八幡神社の上山智久宮司が神事を行い、玉串を捧げるなどして海上の無事を祈った。進水では船を乗せた台車がスロープを滑って海上へ。船首に吊るされたくす玉が割れると、出席者からは大きな拍手が上がった。

 畑山社長は「無事に進水できてホッとしている。コロナウイルスで関係企業との打ち合わせが難しくなるなどの影響もあったが、社員が一丸となってよく頑張ってくれた」と笑顔を見せ、三洋海事の小磯社長は「最新鋭の船が完成した。当社の発展をけん引するような活躍を期待しています」と話していた。

 同社は1932年に創業。82年から曳船の建造を開始、年間2、3隻を建造し、高い実績を誇っている。

写真=無事に進水する「たかはま丸」