日高町の産湯海水浴場を管理する町は29日、「7月11日に海開きする方針で進めていたが、今シーズンは開設しないことに決めた」と発表した。

 今月19日に開かれた海水浴場の運営団体、日高町地域振興株式会社の役員会では「開設する」とし、期間は7月11日から8月23日まで44日間と決定。新型コロナウイルスに対する感染防止対策では県のガイドラインを基に独自のガイドラインを定め、更衣室やシャワー室の利用を中止することなど、3密を避ける対策を進めていた。

 しかし、23日に大阪市内で飲食した岩出保健所管内在住の20代会社員男性が県内で42日ぶりに感染したことを受け、「さらなる感染拡大防止対策を構築する必要があるのではないか」という声が上り、現場で働くスタッフの感染に対する不安も拡大。さらにコロナ対策で人員を増やすことが必要となるが、現場スタッフの人員確保が難しいという問題も浮上した。

 26日に再度、日高町地域振興株式会社の緊急役員会を開催し、「安全面を第一に考えると中止はやむを得ない。総合的に判断しても海水浴場の開設は難しい」と判断。地域振興株式会社が運営を始めた2012年以来、初めて開設しないことが決定した。

 松本秀司町長は「海水浴は子どもたちの楽しみ。地域の活性化を考えてもオープンさせたいと思っていた。開設できないことは残念だが、県内で新たに感染者が発生したことにより、働いていただくスタッフや来場者への感染拡大という不安が高まったことは致し方ない。毎年、海水浴場に来ていただいている利用者、関係者、町民の皆さまには誠に申し訳ありませんが、ご理解いただきますようお願いします」と話している。