同居する母親の遺体を自宅敷地内の倉庫に放置したとして、御坊署は11日、長男で御坊市湯川町富安の無職山田淳一容疑者(58)を死体遺棄の疑いで逮捕した。容疑を認めており、同署は動機について詳しく聞いている。

 調べによると、山田容疑者は母親の山田チヅ子さん(87)の遺体を自宅西側にある倉庫に遺棄した疑い。司法解剖の結果、チヅ子さんは病死の可能性が高く、死後2、3カ月たっていたとみられている。

 御坊署によると、山田容疑者は80代の父親とチヅ子さんとの3人暮らし。チヅ子さんは足腰が不自由で、父親と山田容疑者が身の回りの世話をしていたという。そんな中、父親が今年1月中旬から4月下旬にかけて病院に入院。退院した際、チヅ子さんが家にいなかったため、山田容疑者に尋ねたところ、「体調を崩したので入院している」と説明を受けていたが、気になって家の中を探すと、5月8日に家に隣接する倉庫でチヅ子さんの遺体が見つかり、通報した。チヅ子さんは布団に寝かされ、毛布をかけられた状態だった。

 事件発覚後、山田容疑者は行方をくらましていたが、11日早朝に1人で御坊署へ出頭。「(母親が)自宅で亡くなり、倉庫へ運んだ」と容疑を認めているという。

 現場は湯川文化会館の南方約200㍍の住宅地で、父親が8日夕方に通報した後、捜査員が集結。9日以降も物々しく捜査が続き、周辺住民に不安が広がっていた。近くに住む女性は「警察官が大勢来てびっくりした。何も分からないし、怖かった」と振り返り、逮捕の話を聞いて「(山田容疑者は)おとなしくて、優しかった。介護は大変だったと思う。それでも誰かに相談できていれば、こんなことにはならなかったでしょうに。さみしい話ですね」と話していた。