由良町里のJA紀州ゆら柑橘選果場で5日から、極早生のブランドミカン「ゆら早生」の選果、出荷作業がスタートした。初日は約12㌧を東京と大阪に出荷。昨年の台風の影響で、収穫量は例年に比べ7、8割にとどまりそうだが、長梅雨で心配された味の方は糖度、酸味ともに良好で、市場での売れ行きは上々の滑り出しとなった。

 暑い日が続き、朝晩の気温が下がらなかったため、出荷は昨年より4日遅れてスタートした。今年は、昨年の台風の塩害で木が弱り、着花の段階から数が少なかったという。さらに長引いた梅雨や日照不足で、ゆら早生特有の味の濃さが出るか心配されたが、収穫時期に入り、糖度と酸味がバランスよく成長。ゆら早生の中でも糖度11%以上に限定した商品「ゆらっこ」が全体の5割以上を占め、色ののりや大きさは申し分ない出来栄え。選果2回目の8日は、約16㌧を東京と福島県に出荷した。今月いっぱい集荷を行い、ピークは20日前後となる。

 今シーズンの出荷量は平年に比べて2、3割減を予想、300㌧超えを目標としている。選果場の山本俊希運営委員長は「厳しいなかもなんとか仕上がってきており、ほっとしている」と話していた。

 ゆら早生は、1985年に同町で栽培していた宮川早生の枝分かれとして発見。地元生産者が品質改良を重ねてきた品種で、全国のスーパーマーケットや仲卸業者の人気果物ランキングで毎年ベスト3に入る不動の人気を誇っている。

 初売りとなった7日には、同JAの芝光洋組合長、由良町の畑中雅央町長らが東京の大田市場でトップセールスを実施。全国的に厳しい栽培条件のなか、ずば抜けて味が良いと評価され、競りでは5㌔1箱に1万円の値が付いた。

写真=選果機を流れてくるゆら早生(ゆら柑橘選果場)