由良町門前の臨済宗鷲峰山興国寺(山川宗玄住職)で16日夜、鎌倉時代の開山以来約750年間続く精霊送りの伝統行事、灯籠(とうろう)焼きが行われ、大勢の見物人でにぎわった。近くの無常堂の広場では、青年が重さ150㌔もある土俑(どよう)と呼ばれるたいまつを担ぎ上げて勇壮な姿を見せた。

 「火祭り」とも呼ばれる盂蘭(うら)盆の行事。先祖を鎮魂する意味を持つほか、豊作祈願や成人儀礼としても行われている。1960年に県指定無形民俗文化財に指定。毎年15日に催されているが、今年は台風10号の接近で順延となった。

 午後9時に開始され、境内には檀家が持ち寄った灯籠約50個が集まった。法堂(本堂)を3周する法要が行われたあと、約300㍍離れた無常堂に移動。虚無僧を先頭に灯籠の幻想的な灯りの列ができた。

 到着後、腰巻を付けた地元の小中学生9人が六斎念仏衆の「エーナーアームーアミーダーアーンブ」という念仏に合わせて「たいまつ踊り」を披露した。土俑担ぎは門前地区の4班から若者が1人ずつ登場し、シダで作られた長さ4・2㍍、重さ約150㌔もある土俑を1人で担ぎ上げて周辺を3周した。

 最初に担ぎ上げた伊賀田班の会社員、溝口哲也さん(45)は「2年連続の挑戦。昨年は1周半で土俑を落としてしまったが、今年は無事3周できてほっとしています」と汗だくの顔で話していた。

 最後に檀家が持ち寄った灯籠を焼き、手を合わせて祈りを捧げた。

写真=両端に火のついた約150㌔の土俑を担ぎ上げる男性