「乗ってみると意外と便利」。先日、日高地方の行政担当者や住民らが参加しての、県の地域公共交通研究会を取材した際、「世代を問わず聞かれる感想です」と紹介されていた。研究会では、国や県の担当者、大学の研究者が公共交通の現状や維持・確保に向けた取り組みを説明。「乗って残そう」と地域全体での利用促進を呼びかけた。

 県内路線バスの廃止距離は2008年度から10年間で累計406・2㌔。御坊市と和歌山市の4往復分に上っている。もし車を運転できなくなったら、重要な移動手段となる公共交通。いま利用しているお年寄りや子どもたち、そして将来、次の世代のために、維持・確保を考えなければならないと思った。

 大学時代の主な移動は公共交通。バスや電車の時間に合わせた生活だった。一方、Uターン後は車が中心。いつでも、どこへでも乗って行ける。公共交通を使わないのは「本数が少ない」「運賃が高い」「行きたいところに行けない」といったところか。しかし、これらはほとんどイメージ。皆さんもどうでしょうか。乗ってみて分かることもあるのかもしれない。

 逆に公共交通を使っているのは「本数に合わせた生活ができる人」「お得に移動できる人」「行き先と最寄りのバス停を知っている人」だそう。あるまちでは本数を増やすのではなく、待合所でフリーWi―Fiのサービス提供を開始。学生たちに好評という。研究会で行われた参加者の意見交換でも前向きな考えが続々。「乗って残す」ためには、ネガティブなイメージより、利用者としての目線が大切になる。まずは地域で公共交通について関心を持とう。(笑)