6月に大阪市で開かれる主要20カ国・地域首脳会議などに向けた国際テロ対策の一環で、県警本部と御坊署は17日、御坊市のオークワロマンシティ御坊店でテロ対処訓練を行った。爆発物を積んだ車が買い物客に突っ込んだとの想定で、署員が犯人を取り押さえ、機動隊員が処理活動を展開。本番さながらの緊迫感のなか、市消防と同店も参加し、官民一体となって連携強化や危機意識高揚を図った。

 警察、消防と同店の保安員や客役の従業員ら合わせて39人が参加し、店舗東側の正面出入り口でワンボックスカーが買い物客をはねてけがをさせる事件が発生したと想定。まずは保安員が対応し、110番通報した。続いて市消防隊員がはねられた客を搬送し、駆けつけた署員が後部座席で不審な動きをする犯人に車から出てくるよう説得するとともに、ほかの客ら野次馬を避難誘導。車を降りた犯人が所持品検査に対して「何でなよー」と、いきなり刃物を持って暴れだし、激しい格闘の末に制圧した。

 会場では署員の「早く降りてこい」「おとなしいせえ」、迫真の演技で迫る犯人役の「うるさいなわれー」「みんな死んだらええんや」という怒号が飛び交い、迫力満点。従業員らも表情をこわばらせていた。その後、車の中に残された袋に爆発物のリード線が発見され、応援要請を受けた機動隊員が中身を確認。関係者が固唾(かたず)をのんで見守るなか、マジックハンドや処理用具を使って処理車に収納した。

 終了後、大野矢雄署長が「いまの時代、いつどこで何が起こるか分からず、有事の際は人命救助を第一に、冷静沈着な対応が求められる。これからもあらゆるケースを想定して訓練を重ねたい」、小畑秀樹消防長が「ロマンシティの適切な初期対応、警察の迅速、的確、果敢な対応は市民として安心感を与えてくれるものでした。消防としても万全を期すため訓練し、併せて警察との連携、官民一体となった対応力の強化に努めていきたい」とあいさつ。上田弘昭店長は「この地域では一番お客さんが集まるところの一つ。訓練に利用してもらえ、いい経験にもなり、よかったと思う。私たちも日ごろから不審な車や物に普段から注意を払いたい」と話していた。

写真=犯人役を取り押さえる署員