安倍首相とトランプ大統領の会談が終わった。注目の北朝鮮問題は、大統領と金労働党委員長の直接対話を前に、米国が射程となるICBMだけでなく、短中距離弾道弾も含めた核の放棄を求めることを確認。日本にとって「ほぼ満額回答」だったという。
 大統領は会談後の会見で、首相が内閣の最重要課題とする拉致問題の解決についても、「被害者が家に戻り、再び家族と暮らせるようあらゆる努力をする」と強調した。昨年、日本で被害者家族と面会したことを振り返り、「日本のために最善となるようベストを尽くす」と胸を張った。
 大統領就任から1年3カ月。首相が訪米した昨年2月、北のミサイルが日本上空を通過した直後の緊急共同会見は異例の1つの演台で行われ、大統領がたった一言、「米国は100%、日本とともにある」と話したのが強烈だった。両首脳が相互訪問、会談を重ね、築き上げた絆は揺るぎない。
 安倍首相は日米同盟を軸に、自由と民主主義の価値観を共有する国に連携を求め、地球儀を俯瞰するように外遊をこなしてきた。価値観も道徳も異なる弱肉強食の国際政治の舞台で、力で現状を変更しようとする国にもひるまず、国民を守るために必要な備えを進め、成果を挙げてきた。
 しかしここにきて、安心して留守を任せていた麻生副総理が窮地に陥り、内閣支持率が急落、自身の総裁3選さえ危ういとの観測が出始めた。ゆえに米朝首脳会談にかける期待は大きいが、自他ともに「予測不能」と認め、やたら取引好きの大統領だけに、なお予断を許さない。
 北朝鮮の完全で検証可能かつ不可逆的な核とミサイルの廃棄、さらに拉致被害者の全員帰国へ、強硬派の国務長官と補佐官を従え、いざ!(静)