2016年の環境省の水質調査で全国ワースト1になったみなべ町の2級河川、古川(南部川支川)に対し、県は町と協力して改善に向けた対策を強化する。流域の全域で工場等の排水を下水処理施設に接続するよう要請するなどして環境基準のクリアを目指す。すでに流量を増加させる対策も始めている。
 調査は全国の2561水域で実施し、水の汚れの指標となる生物化学的酸素要求量(BOD)の数値を基準としている。
 古川は同町晩稲地内の大谷池などを源流とする2級河川で、気佐藤まで続く南部川の支川。延長は約4・5㌔。調査場所は古川橋(山内)周辺で、偶数月に測定を行って平均の数値を出した。結果、BODは23㎎/㍑となり、全国ワースト1。ワースト2の早戸川(茨城)は6・8㎎/㍑、ワースト3の鶴生田川(群馬)と磯部川(福井)は6・5㎎/㍑、ワースト5の印旛放水路上流(千葉)は5・9㎎/㍑で、古川はこれらの河川と比べても突出して高い数値となった。要因としては、流れが緩やかなうえ水量が少ないため浄化能力が低く、流域周辺の家庭や事業所からの排水が汚れにつながっているとみられている。特に渇水期の冬場に数値が高い傾向があった。
 管理する県は、水質の改善を図るため対策を強化。3月初旬からは大井堰水利組合の協力を得て農業用水路の取水運用を変更し、古川に流れ込む水量を増加させた。今月1日からは古川流域で下水施設が利用できるようになったため、小規模事業者に工場等の排水を下水道に接続するよう要請。併せて工場の廃液を産業廃棄物処理業者に委託することも要請する。環境基準の3㎎/㍑以下を目指していく。仁坂吉伸知事は先月末に行われた定例記者会見で古川の水質対策を取り上げ、「世界農業遺産でもある日本一の梅産地で汚名を着せられることのないようにする」と話した。