印南町印南原の路上で11日夕方、近所に住む88歳の女性が倒れているのが見つかり、病院に運ばれたが、その後、搬送先で死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は多発外傷による外傷性ショックで、御坊署はひき逃げなど交通事故に巻き込まれた可能性が高いとみながら、事件と事故の両面で慎重に捜査を進めている。
 亡くなったのは、印南原の無職井上百合子さん(88)。調べによると、11日午後4時30分ごろ、同地内の県道から脇に一本入った私道上で、井上さんが倒れているのを、近くのビニールハウス内で農作業をしていた男性が見つけ、知らせを受けた井上さんの家族が4時46分ごろに119番通報。井上さんは当初意識があったが上半身を中心に何かで強く打っており、発見から約4時間後の午後8時37分、搬送先の病院で死亡が確認された。腰や胸、腕などに多数の骨折があった上、顔にはすり傷があり、けがは単に転倒しただけでは考えにくいという。
 現場の私道は行き止まりになった丘の上。車が転回できる広さ5~6㍍四方のスペースになっている。第一発見者の男性は、うめき声を聞いてビニールハウスを出たところ、倒れている井上さんを見つけたという。井上さんの家族によると、井上さんは普段から現場の方へ散歩や畑を見に行ったりしており、この日は午後4時半前に自宅で姿を確認。その後、現場の近くを通ったとみられている。周辺の人の話では農作業関係の車以外はほとんど立ち入ることがない場所。御坊署は近隣住民への聞き取りも行うなどし、ひき逃げの可能性を含めて事件と事故の両面から調べている。