第61回日本学生科学賞の県審査(読売新聞社主催、県教委など後援)で、日高高校科学部2人の研究「ビル風を読む」が県議会議長賞に選ばれた。2年生の伊藤徳亨君と下野翼君の2人が、独自の装置を開発して研究してきた内容。11月18、19日に行われる中央予備審査に進む。
 中学生、高校生を対象に研究成果を発表するコンクールで、県審査には14点が応募。中央予備審査に進む県知事賞、県議会議長賞、県教育委員会賞をそれぞれ1点ずつ選んだ。
 ビル風とは、大きな建物に風があたることで周辺に発生する強風などのこと。ビルが好きな下野君が科学雑誌で知り、研究テーマに選んだ。内容は一般的な四角いビル「スクエア型」と大阪のあべのハルカスのように上部にいくほど細くなっていく「セットバック型」の2種類について、周辺の風速を調べた。調査には一般的に1000万円以上するような高価な装置が必要となるが、2人は日用品を活用した装置を開発。サーキュレーターや遮光シートで風を送る装置を作り、ビル模型はレゴブロックで作製。サーキュレーターのトルネード状の風の動きを一定化させるなど、工夫を凝らして完成させた。装置に2種類の型で大きさの異なる6つのビル模型を設置し、風速を計る装置「アネモマスター」を使い、1つのビルにつき約240カ所の風速を計った。結果、セットバック型はスクエア型より風速の増加領域が少なく、ビルの振動も少ないこと、周辺のビルや環境への影響も少ないことが分かった。
 ことし4月から約半年かけて取り組んできた研究。中央予備審査進出に「うれしいです」と笑顔。「初めはサーキュレーターの風がトルネード状になっていることに気付かず、思ったような測定結果が出なかったのですが、ホームセンターで売っているざるやネットなどを使って風の流れを一定化できました」と試行錯誤を繰り返してきた装置の開発を振り返る。中央予備審査に向けては「新たな考察も加えた研究内容を提出し、ポスター発表ができる中央審査進出を目指します」と張り切っている。また複数のビルがある場合の風速の増減など、今後の新たな研究にも意欲を見せている。