「絆とは、糸を半分ずつ出し合って築くもの」とは、日高地方PTA連合会の研究大会で講演した奈良県の薬師寺副執事長の大谷徹奘さんの言葉。縁を絆に育てていくことの大切さ、人と人が出会うのは偶然ではなく『よっぽどの縁』があるという話についつい引き込まれた。縁がなければ家族にはならないし、今日同じ時間を過ごすのも縁があるから。この出会いという縁を好きや嫌いというレベルで扱うと縁を育てることはできないとも。出会いを大切にできるかどうかは、心の豊かさをどれだけ磨けるかどうかだろう。
 印象に残ったのは、人は皆幸せになりたいと思っているのに、幸せをつかんでいる人がほとんどいない、それは幸せが何かを分かっていないからという話。例えばお金をいくら持っても、もっともっと欲しいときりがない。物の世界だけとらえて、心の勉強をしてこなかったから幸せが何か分からない。手のひらの上にある幸せを幸せだといえるようになれるか、すべては心の持ち方一つだと。
 考えてみれば人は、失って初めて大切さに気づくことが多い。病気をして健康のありがたさを知る、離れ離れになって人の大切さを痛感する。しかし、そのありがたみや大切さも、時間が経ってまた当たり前になるとついつい忘れてしまう。そんな筆者はまだまだ心の勉強が足りない。
 大谷さんは親のあり方にも触れ、覚悟を決めて自分の夢に命を使い、生きざまを見せることが大切だと強調された。子どもの心には親の姿がインプットされると。大谷さん著の日めくりカレンダーの中の言葉から「覚悟のない道は行き止まる」「今逃げれば過去に逃げた自分をつくることになる」。親として、心に刻んでおきたい。    (片)