人工知能(AI)分野の進歩は目覚ましく、囲碁のAIが世界最強といわれる中国の囲碁棋士に勝利するまでになった。いまや人間の生活の中にもAI搭載の機器はたくさんある。お掃除ロボ「ルンバ」に代表されるように家電製品、最近では「たためる」洗濯機が話題を呼んだ。AIによる自動運転システムを搭載できる車も発売されている。ロボット産業はますます進歩していくことだろう。
 先日、名古屋市で開催されたロボカップ世界大会を見学した。初めて聞くイベントの名前だったが、20年前から毎年開催されており、「2050年までにサッカーのワールドカップチャンピオンに勝てる、自分の判断で動くことのできるヒューマノイド型ロボットのチームを作る」を目標に世界中の研究者が技術を競っている、と聞くだけで夢が広がる。災害救助や日常生活での利用などさまざまなジャンルでロボットが実用化されており、中でもサッカーは味方を認識してパスを出したり、ゴール目がけてシュートするシーンには驚くほかなかった。
 技術の進歩に夢あふれる未来の到来を感じさせられた一方、製品の製造、案内、電話対応などさまざまな分野で人に代わってロボットが活躍する時代になれば、人は仕事にありつけるのかと心配にもなる。ロボットに支配されるとまでいかなくとも、ロボットと共存する社会といわれる時代はいつかやってくるだろう。だからこそ人は、人間力を磨くことが求められるのではないか。相手の表情から心をくみ取る、雰囲気で察知する、目を見ればわかる、ロボットにはない心の豊かさを磨くこと。いまの時代も、未来も、一番大事なことだと、ロボットを見ていて感じた。     (片)