人のやる気は人のつながりの中で生まれ、やる気のある人のネットワークが広がれば広がるほど地域は活性化されていく。和歌山大学経済学部の大澤健教授の講演を聴いて、納得させられた。3人いたら考え方も3倍になるので、一人で考えるよりみんなで話し合った方が柔軟でいいアイデアが出るとも。コミュニケーションが深まって一緒に何かをやる。経験を通して人のつながりができ、主体性や的確な判断力が養われていく。とくに学生や若者はこれから身に付けていかなければならないことである。
 大澤先生も言っておられたが、5年後をめどに大学入試が大きく変わる。いまのように答えが決まっている「知識の暗記」ではなく、自分自身で答えを見つける問題に変わっていく。具体的なことはこれから検討されるが、「思考力、判断力、表現力」や「主体性を持って多様な人々と協働する態度」という真の学力を評価する方針が示されている。もちろん、知識という基礎があった上でのことだが、これまでは「社会に出て役に立つのか」と思う勉強もあった中、これからは社会で役に立つ力を身に付ける教育に一層重点を置いた仕組みに変わっていくということだろう。
 あくまで高校から大学への過程でのシステム転換だが、基礎を築くのは小中学校での生活。集団生活の中で協調性や自主性を育む学校でのあり方がこれまで以上に重視される。何より家庭での教育、生活のあり方も一層問われることになるのだと、一親として考えさせられる。知識ならネットに聞けば答えが出るが、正解のない問題に自分で答えを導き出すためには経験が必要。ゲームを少しやめて本を読み、外に出て誰かと遊ぶ。まずはここからスタートかも。 (片)