全国的にクマが民家周辺に出没、人が襲われて亡くなるなどの事故も発生しているなか、龍神村小家地内の山で8日朝、イノシシ用のくくりわなにツキノワグマがかかっているのが見つかった。県内のクマの目撃情報は平成27年度が26件だったが、本年度は今月1日時点で53件と倍増。捕獲は今回が初めてで、健康状態に問題はなく、夕方、奥山に放された。
 現場は日高川沿いの国道424号に架かる崎平(さきだいら)から約100㍍の山で、午前7時20分ごろ、地元の男性が、設置していたイノシシ・シカ用のくくりわなにツキノワグマがかかっているのを見つけた。
 連絡を受けた県は神戸市の㈱野生動物保護管理事務所に出動を要請し、クマを麻酔で眠らせて調べたところ、推定年齢10歳以上の大人のメスで、体長1・14㍍、体重は60㌔。捕獲歴はなく、健康状態に問題もなかったことから、午後4時20分ごろ、山の奥に車で運んで放した。
 県自然環境室によると、県内のクマの目撃情報件数は、平成24年度が47件、25年度が48件で、26年度と27年度は26件と減少していたが、全国的にもクマ騒ぎが起きている本年度は、今月1日時点で53件と倍増。53件のうち本紙エリアは龍神村が4件、日高川町の美山地区が8件、中津地区が3件、川辺地区が2件、みなべ町の旧南部川村地区が1件、印南町が1件。
 県内のクマの捕獲は昨年度3件あったが、本年度の捕獲は今回が初めて。日高川町寒川ではことし6月末から7月上旬にかけて、養蜂箱を荒らすクマを捕まえようと檻(おり)を設置したこともあったが、捕まらなかった。