顧客から預かった現金56万円を貯金口座に入金せず着服したとして、御坊署は5日、JA紀州中央川辺支所(現JA紀州川辺支店)の元支所長代理で日高川町若野の農業、坂口浩德容疑者(54)を業務上横領の疑いで逮捕した。容疑を否認しているという。同署によると坂口容疑者は30年以上にわたり被害に遭った顧客名義の積立貯金を家族らから集金。ほかにも数千万円の余罪があるとみて厳しく追及している。
 調べによると、坂口容疑者は支所長代理だった平成26年1月31日から2月21日までの間4回にわたり、御坊市内に住む会社役員の男性(67)名義の普通貯金口座に入金するため、預け入れ金として集金した現金計56万円を着服した疑い。同年2月、男性が口座の残高を問い合わせたところ、金額がまったく合わなかったため判明した。JAは翌3月に坂口容疑者を懲戒解雇して刑事告発。男性も5月に告発状を出していた。
 同署によると坂口容疑者はJAに入った昭和57年ごろから、男性が経営する書店や居酒屋の売り上げの一部を毎日ためる「日掛け貯金」を担当。男性名義の積立貯金として家族らから直接手渡しで集金していた。同署は一日1~2万円を1週間分まとめて預かっていた時期もあり、これまで集金した総額は数千万円に上るとみている。坂口容疑者は「入金するつもりだったので横領する気はなかった」という意味の供述をしているという。