御坊市の日高教育会館で5日、御坊市や美浜町の山に残る戦争末期に造られたトーチカ(コンクリートで固められた砲座跡)等の調査報告会が開かれ、約30人が参加した。
 憲法改正反対の立場から反戦、平和のための活動を行っている市民団体、日高平和委員会が主催。同委員会は「紀伊防衛部隊築城施設要図」という旧陸軍の資料を手に入れ、昨年12月から日高地方に残るトーチカや横穴の壕、兵士が移動する塹壕跡などの調査を進めている。今回は中間報告として、ことし5月まで4回の調査で確認できた御坊市湯川町の亀山、御坊市野口地区の山、美浜町の入山にあるトーチカ、砲台跡の現状を紹介した。
 トーチカは亀山に1カ所、入山に2カ所あり、野口の山には大砲が据えられていたという大きな穴を確認。報告を行った憲法九条を守り・いかす日高連絡会代表の谷口幸男さん(82)は、「これらは煙樹ケ浜等への米軍上陸を想定して造られたもので、幸い上陸前に終戦を迎え、戦火は免れたが、もし戦争が長引き、米軍が上陸していたらどうなっていたか。(陸上戦が行われた)沖縄の惨状を見たとき、日高地方も大変な被害が出ていたはずで、本当に恐ろしいかぎり」などと述べた。