田辺市の龍神村で10日朝、ツキノワグマ1頭がイノシシ用のわなにかかっているのが見つかった。現場は、民家から約500㍍離れた道路近くの山林。県によると、このクマは耳に付けられていたタグから昨年5月と12月に日高川町で捕獲されており、今回で3回目となったという。
 捕獲された場所は小家地内の崎平橋から印南方面へ約500㍍の国道425号線沿い。地元の西川正太郎さん(65)が国道から約5㍍の高さの山の斜面にイノシシなどを捕獲するため仕掛けていたくくりわなにかかった。体長1.23㍍、体重39.5㌔。3~5歳のオスで、西川さんが午前8時半ごろに仕掛けたわなを見回ったところ発見。すぐに同市龍神行政局に連絡した。午後から専門家らが現地を訪れ、クマに麻酔銃を打って眠らせて捕獲。クマにけがはなく健康状態もいいため、同日午後5時ごろ、県内の山奥に放した。
 西川さんは、「有害駆除で1カ月ほど前からわなを仕掛けていた。以前にもこの周辺でクマを2、3回目撃したことはあったが、まさかわなにかかるとは」と驚いていた。野生動物保護管理事務所関西分室(神戸市)の山元得江主任研究員によると、「ツキノワグマは個体によって違うが、一日に数㌔程度移動する」という。