美浜町の煙樹海岸キャンプ場で31日、陸上自衛隊和歌山駐屯地の創立53周年記念行事が行われた。ことしは集団的自衛権の行使容認など新たな安全保障関連法案の国会論議が荒れ模様のなか、玉置久起駐屯地司令は記念式典で、「事に臨んでは危険を顧みず、国民の負託に応える」と力強く服務を宣誓。一方、式典会場近くでは「戦争立法反対」を訴える市民グループが抗議のデモ行進を行った。
 創立記念行事は、昨年まで駐屯地内で式典を行っていたが、ことしは初めて式典と行事を煙樹海岸キャンプ場で実施。式典には民主党の岸本周平衆院議員、自衛隊和歌山協力会顧問の二階俊博衆院議員(代理)、地元美浜町の森下誠史町長、鈴川基次議長らを迎え、同協力会、父兄会日高支部、県隊友会日高支部などからも多くの来賓が出席した。
 玉置司令は国民、地域住民の安全安心を守るため、日々、駐屯地周辺で各種訓練を実施できることに感謝。軍備増強で力による強引な現状変更を進めようとする周辺国の脅威を背景に、「近年のわが国を取り巻く安全保障環境は一層緊張感を増しており、南海トラフ巨大地震等の大規模災害など、まさにいつ、何が起きても不思議ではない。われわれはいかに環境が変わろうとも、自衛隊員の原点である服務の宣誓を肝に銘じ、国民、地域の皆さまの期待に応えなければならない」と述べ、日本の平和と独立を守るため、心身を鍛え、事に臨んでは危険を顧みず責務の完遂に努める服務を声高らかに宣誓した。
 ことしの記念行事のテーマは「感謝」。式典のあとには航空自衛隊串本分屯基地のファンシードリル、水際地雷敷設車など18両の災害派遣行進、自衛隊員による和太鼓演奏などが行われ、多目的広場では地元の人気物産展とともに海上自衛隊由良基地分遣隊による「海上自衛隊カレー」の販売もあり、多くの家族連れらでにぎわった。
 一方、記念行事会場近くでは、水際地雷敷設車等の災害派遣行進を「軍事パレード」とする市民グループ「美浜町水際地雷・軍事パレード反対連絡会」が抗議のデモ行進を実施。谷口幸男会長は集会で「ことしも災害救助のための自衛隊を前面に記念行事が行われているが、自衛隊の活動は災害だけでなく、和歌山駐屯地の本来の任務は水際地雷の敷設。政府が戦争法案を押し通そうとし、集団的自衛権を行使しようとしているいまの動きをみると、この和歌山駐屯地の訓練もさらに拡大、強化されるのではないかと危惧する」とあいさつし、参加した約30人は和田西・西中周辺を行進、「戦争立法反対」「若者を戦場へ送るな」などとシュプレヒコールを繰り返した。