26日の文化財防火デーを前に23日、御坊市、日高広域両消防本部は市内日高別院と日高川町の道成寺で総合消防演習を実施。いずれも地元消防団などと連携した放水やケガ人救助、子どもの避難誘導など本番さながらに行い、地域の貴重な財産を後世に残していく決意を新たにした。
 市消防では日高別院で行い、炊事場から出火と想定。寺の関係者らが速やかに通報するとともに、敷地内にある御坊幼稚園では園児たちが防災頭巾をかぶってハンカチを口に当てて避難。市消防や消防団が到着したあとは、本堂前にあるイチョウの木に向かって2カ所から放水した。小畑秀樹署長は「重要な文化財、貴重な財産を後世に残すのも我々の使命。災害を起こさないことが大事だが、万が一の際には被害を最小限にくい止めたい」と話した。
 日高広域消防は道成寺で行った。参拝者の失火で本堂の南側から出火、火災が本堂全体に広がったと想定し、まず寺の関係者が消火器で初期消火を実践。駆けつけたレスキュー隊は、煙る本堂に突入して取り残されたけが人を発見。2人で抱えて救出し、救急隊に引き継いだ。寺の自衛消防団は境内の放水銃、消防隊はホースで本堂へ一斉放水し、力強い水柱を立てた。山西良一消防長は「ことしも皆さんの活動はとても機敏でよかった。歴史ある建築物、文化財を守るには日ごろからの備えが必要で、この訓練を契機になお一層の防災強化を図っていこう」と激励した。