美浜町は南海トラフ巨大地震等の発生に備え、本年度から平成55年度まで30年間の津波避難に関する施設等の整備計画案をまとめた。26~30年度の第1次計画期間では吉原地内の松原高台(築山)、三尾地内の緊急ヘリ離発着場など5つを整備し、田井畑地区は従来の避難タワー建設計画を盛り土の高台施設に変更。14日には町自主防災会の各地区代表に内容を説明、了承を得た。
 東日本大震災後、国や県がまとめた巨大地震と津波の被害想定によると、美浜町は南海トラフの巨大地震が起こった場合、最大でまち全体の約46%が浸水。建物は総数4500棟のうち77%の3500棟が全壊し、55%が地震の揺れ、39%が津波により全壊すると想定されている。
 県は昨年、約150年周期で繰り返し発生しているマグニチュード8規模の大地震(3連動)と東日本大震災クラスの南海トラフの巨大地震について、県内の津波避難困難地域を指定。美浜町は南海トラフの巨大地震が起こった場合、吉原、浜ノ瀬、田井地区が避難困難地域とされ、対象人口は932人となっている。
 美浜町が今回まとめた津波避難に関する整備計画は、この松原地区の避難困難地域解消を最優先に、30年度まで5年間の第1次計画で吉原地内に築山の松原高台を建設。公民館浜ノ瀬分館(鉄筋2階建て)は屋上に人が避難できるよう改修し、現在は3連動地震対応の高さとなっている避難タワーを屋上まで継ぎ足す。また、昨年、住民から土地の寄付を受けた田井畑地区については、従来、旧集会所を取り壊した跡地に避難タワーを建設する計画だったが、今回の整備計画では寄付された土地を活用し、ざっと300人程度が一時避難できる盛り土の高台を建設。三尾地区には物資や傷病者を搬送するためのヘリの離発着場を整備する。
 それぞれの完成予定年度は、松原高台が30年度、浜ノ瀬分館避難タワーが27年度、三尾のヘリ離発着場が30年度、田井畑高台が31年度。町防災企画課は14日の自主防災連絡会の会合で計画内容を示し、松原地区の高台については「頂上部は2000人程度が避難できる広場のほか、緊急車両の駐車場、仮設トイレ、資材倉庫などのスペースを設ける。本年度中に基本・実施設計が出来上がり、全体完成予定は30年度となっているが、28年度で盛り土の土台部分は完成するので、住民の一時避難は可能になるだろう」と説明した。
 31~35年度の第2次計画では、吉原公園内に避難タワーか築山、和田の大浜団地の公園に避難タワー、上田井地区に築山などを整備。36年度以降は公民館や集会場等の既存公共施設を対象に、老朽化に伴う建て替えの際には、建物の下を駐車場等にして浸水被害を防ぐピロティ構造にするなどを考えているという。
 55年度までの30年間の概算事業費は50億6500万円。19日には議会の特別委員会にも説明する。