サルから農作物を守れ――。日高川町の農業振興協議会は30日、日高川交流センターで動物駆逐用煙火の講習会を開き、農業者約90人が参加した。農作物の天敵であるサルなど野生動物を目掛けて音花火を打ち込み、甲高い爆音で追い払う道具。農業者は実際に煙火を体験し、早速サルの撃退に大きな期待を寄せていた。
 動物駆逐用煙火は、約40㌢の筒状の本体から音花火を発射する。連射式の打ち上げ花火のような道具で、手で持って利用する。点火すると、約5秒間隔で5発が連射され、20㍍ほど飛んだあと、閃光と爆音でサルなどを威嚇する。
 イノシシやシカより利口で、銃やわなで仕留めにくいサルに対しして、捕獲を目的ではなく追い払いを目指しており、三重県農業研究所の発案で「サル追い払い用煙火」として業者が開発。平成22年から農業者に利用されており、県内ではいち早く導入した古座川町は効果が出ているという。日高地方では印南町などで導入されており、農作物被害が年間約1500万円、このうちサルによる被害が約600万円とサル被害が深刻な日高川町でも山野、松瀬地区で他地区に先駆けて利用。この日、地域ぐるみの取り組みにしてもらおうと、全町的な講習会を開いた。
 講習会で農業者は、有田川町の道具取り扱い販売業者から利用法や注意点など聞いたあと、交流センターから中津若者広場に場所を移して一人一人が実際に体験。空中で甲高い爆音が次々と響きわたり、参加者は天敵撃退に手応えを感じていた。キュウリにナス、ミカン、クリと年間を通じてサルの被害に頭を悩ませているという小釜本の北畠正一さん(55)は「思っていたより音が大きく甲高くて効果がありそう。これなら恐怖心をうえつけられるはず。早速使ってみたい」と話していた。
 煙火は、1本400円程度。講習受講者しか利用することができない。個人ではなく地域ぐるみで利用、管理する。