印南町鳥獣害防止対策協議会(村上智一会長)は、サルによる農作物被害の減少へ、日高地方で初めてサル追い払い用花火「動物駆逐用煙火」を導入する。6日に古井の若者広場で安全講習会を開き、農家の人ら32人が参加。試し打ちでは大きな爆発音が響き、参加者たちは効果に期待を寄せていた。
 町内では稲原、切目川地区を中心に、農作物や果樹のサル被害を受けており、平成24年度の被害額は約85万円で、毎年同程度の被害を受けている。町や協議会では通報に応じて追っ払い活動を行う「鳥獣被害対策実施隊」や大型囲いわなの設置などで、被害の減少に努めているが、農家自らも追い払うことを可能にしようと、花火の導入を決めた。
 花火は三重県の伊藤煙火工業(伊藤照雄社長)が開発した製品。全長約40㌢の筒から5連発の花火が出る。発射された花火は約20㍍飛んだあと閃光(せんこう)と爆発音でサルを威嚇する。使い方は一般的な連発式の手持ち花火と似ているが、通常の花火より火薬を多く使うため、使用には安全講習が必要となっている。ことし6月に導入した古座川町では、使用者から「花火で威嚇して1、2カ月出没しなくなった」などの効果を確認しているほか、農家が山へ追いやり待ち構えていた猟師が山で仕留めるなどの連携駆除にも役立っているという。
 講習会には伊藤社長が講師で訪れ、使用方法や管理方法、注意事項などを説明したあと、順番に発射練習。花火を専用ホルダーに入れたあと、蚊取り線香で着火。しばらくすると火の玉が飛び出し、閃光とともに「パーン」と大きな音が周辺に響いた。サルにビニールハウスを破られるなどの被害を受けている平野勝彦さん(27)=印南原=は「思った以上に大きな音がしました。効果が期待できそうです」と話していた。講習後、参加した32人に受講証が手渡された。花火は協議会で200本購入し、講習を受けた希望農家に譲渡。価格は1本数百円で個人の負担は半分のみとなっている。また、講習会は来年1月に日高郡の対策協議会での開催も予定されている。