市は2日、平成24年度当初予算を発表した。一般会計は121億9848万3000円で前年度比4・7%の微増。今回は昨年3月の東日本大震災を受けて地震・津波対策に重点を置いた編成となっており、新規事業として市立体育館の耐震補強と改修、津波避難タワーの建設などを盛り込んでいる。
 主な新規事業をみると、市立体育館は昭和45年7月に完成して以来、40年余りの歳月が過ぎて老朽化が進んでおり、耐震診断でも改修が必要との結果が出た。24年度当初では設計費1100万円を計上。設計が終了次第、24年度中の補正で数億円とみられる工事費を計上して、25年度中の完成を目指す。一方、津波避難タワーはかねて名屋地区での建設案があったが、東日本大震災を受けて規模や場所を再検討。薗地内の日高川堤防北沿い(薗会館南)にあるゲートボール場跡地に建設することになった。高さは14㍍で、200人程度の収容人数を考えている。新年度は設計調査費350万円を計上しており、建設は25年度で行う。
 地震防災関連では津波避難調査事業で100万円も計上。和高専や和歌山大学に協力を依頼して、津波浸水エリアの住民が円滑に避難できるような対策を検討する。また、災害時の通信手段を確保するために本庁と消防本部に衛星携帯電話各2台を配置するとともに、市内の避難所55カ所に防災ラジオ、小中学10校の体育館にテレビ映像受診装置を置く。予算は合わせて415万4000円となる。
 防災関連以外の事業では湯川中学校改築の設計費7000万円、野口地区への学童保育開設費617万9000円、塩屋漁港の機能保全計画策定費1000万円などがある。
 新年度の一般会計は前年比微増となったが、これまで予算計上する必要がなかった土地開発公社への貸付金約8億円を、国の指導で一般会計として取り扱うようになったために予算規模が増えているだけで、市の持ち出し額が前年から増えたわけではない。このため、公社の8億円を予算計上しなければ前年比約3億円のマイナスで、実質は堅実型予算といえる。財政調整基金は徹底した歳出削減や交付税増の恩恵もあって、4年連続取り崩しゼロ。24年度末見込みで残高は28億1700万円となる。