由良町出身でプロサッカー選手として世界で活躍し、現在はアフリカ・カメルーンのサッカー組織「ALIFE」に所属している直川公俊さん(28)が28日、元カメルーン代表で同組織会長のマボアングさん(43)を連れて帰省した。2人は6月に大分県でカメルーンと世界選抜の国際チャリティーマッチを企画。 マボアングさんは美しい白崎の景色を気に入り、「ぜひカメルーン代表を由良町に連れてきたい」と意気込んだ。
 カメルーン代表は2002年の日韓ワールドカップで、大分県中津江村(2005年の合併で日田市に編入)でキャンプしたことから、現在も交流が続いている。当時村長だった坂本休さんからカメルーン側に「あれから10周年になるので、何かできないか」との打診があり、昨年現役を引退してからはALIFEのマッチメーカーとしてフランスなどでチャリティーマッチを手掛けている直川さんが、大分県でのチャリティーマッチを企画。今回は1日に大分県で行う打ち合わせのため1週間前に来日し、28日に来日したマボアング会長を関空へ迎えにいき、そのまま由良町に足を延ばした。
 カメルーンは冬でも気温32度ほどあるため、日本の冬は「寒いね」と笑うマボアングさんも、白崎の美しい石灰岩や海に「すごくきれい。試合で世界各地を回ったが、これだけの景色はなかなか見られない」と大満足。10年ぶりの来日で、「カメルーンにとって日本は身近な国で、選手たちも私の土産話をすごく楽しみにしている。それほど日本のことが好きで、早く来たがっている。チャリティーマッチをぜひ成功させたいし、代表選手を由良に連れてきたい」とノリノリ。話が日本サッカーに及ぶとさらに熱が入り、「技術はすごく高い。体の強さとハングリーさがもっとあればさらに強くなるだろう」と持論を展開したが、直川さんがすかさず「前回(2010南アフリカ大会)のワールドカップでは日本が(カメルーンに)1―0で勝ったけどね」とツッコミを入れて大笑い。 この日は直川さんの自宅に泊まり、29日は大阪場所の力士部屋で稽古を見学。1日は大分県で打ち合わせを行う。
 チャリティーマッチは6月中旬に計画しており、カメルーン代表と世界選抜の試合を立案。世界選抜には世界最優秀選手のメッシ(アルゼンチン)や元イタリア代表のスーパースターであるロベルト・バッジオ、デル・ピエロらにオファーをかけているという。収益金はアフリカ振興のため学校や病院の設備などに充てる。直川さんは「世界の選手はチャリティーマッチにすごく協力的なので、スケジュールさえ合えば有名な選手に来てもらえると思うし、カメルーン代表には世界のストライカー、エトー選手らもいる。関西空港を利用する予定なので、ぜひ由良にも連れてきたい」とやる気満々で、「大変な仕事ですが、やりがいがありますし、ぜひ大分でのイベントを成功させられるよう頑張ります」と気を引き締めていた。由良から世界に羽ばたく直川さんの活躍に、今後も目が離せない。
 マボアングさんはカメルーン代表として1990年、1994年のワールドカップにFWとして出場。90年にはベスト8進出を果たした。現在はフランスを拠点に子どもの育成などに力を注いでいる。直川さんは単身ヨーロッパや南米でサッカー修行を続け、カメルーンをはじめイタリアやポーランド、ブラジルなどで活躍した。