リング.jpg ことし3月末現在の県内の65歳以上の高齢者は約26万9000人で、 全人口に占める割合は25・9%、4人に1人が高齢者となっています。 この高齢人口比率は近畿2府4県で1位、 全国でも7位という高さで、 この高齢社会の進展に合わせて、 認知症のお年寄りも増加傾向。 シリーズ認知症最終回の今回は、 地域で認知症の高齢者と家族を支え合うまちづくりについて、 御坊市包括支援センターで話を聞きました。
 認知症は、定義や症状のとらえ方、医師や介護認定をする人の判断基準によって大きなバラツキがあり、県内もはっきりした統計ではありませんが、現在、2万人以上の認知症患者がいるとみられています。御坊市包括支援センターによると、市内で要介護認定を受けたお年寄りは1200~1300人おり、このうちなんらかの認知症症状があると思われる人は約半分。症状によって自宅で過ごしている人もいれば、デイサービスやホームヘルプ、ショートステイなどの介護保険サービスを利用しながら生活している人もいます。 なかには介護する家族がいない1人暮らしの人もいて、近所の人が火の扱いなどに関して「もしなんかあったら...」と不安に感じているケースもあります。しかし、こうした1人暮らしの認知症患者や高齢者夫婦も、近所の人たちの理解と支援があれば在宅で過ごすことができます。
 御坊市は本年度、県の認知症地域支援体制構築モデル事業の指定を受け、地域で認知症の人と家族を支えるまちづくりを進めています。その一環として、団体や事業所を対象にした認知症サポーター養成講座があり、認知症の原因となる病気、特徴的な症状、行動等について、指導者資格を持つ包括支援センターの職員が説明。2年前から始まり、これまで金融機関や地域住民、デイケアサロンのボランティアらのほか、御坊署の警察官も受講し、受講者にはサポーターの証しとなるオレンジリングが贈られています。本年度は小学生と中学生向けのサポーター養成講座副読本もつくり、今後は一般だけでなく子どものサポーター養成を進め、介護職員を対象としたスキルアップ研修、モデル地区(藤田町)での懇談会なども開く予定。サポーター養成講座は5人以上のグループ、団体から依頼があれば講師を派遣。申し込み、問い合わせは包括支援センター℡23-5851。
 かつては 「ボケ」 「痴呆」 と呼ばれた認知症は、精神障害や知的障害に比べると、社会の理解が進んでいますが、まだまだ正しい情報不足による誤解、偏見、差別もあります。市包括支援センターの湯川憲治センター長(55)は「日常、冗談でよくいわれる『認知症の人はなんにも分からんから幸せ』という話は大きな間違いで、認知症の方は皆さん、不安いっぱいの毎日です。いま、日本人の85歳以上の4人に1人は認知症症状があるといわれています。正しい理解が広まることで、正しい介護のあり方、差別や偏見をなくすことにつながります。若い人もひとごとではなく、自分自身の問題として受け止めてほしいですね」と話しています。         (おわり)