705①.jpg 選手でありながらマネジャー。自身の練習は常に後回しでノック、ティー打撃の補助とチームメートの練習サポートに力を注ぐ縁の下の力持ち。
 
 「マネジャーをやってくれないか」。 ことし2月、高校入学前に患った腰のヘルニア再発を機に井戸大志監督から頼まれた。「チームのためになるなら」と引き受けたが、小中学生時代は投手兼外野手でチームの主力として活躍。パンチ力のある打撃に加え、投手としても直球が武器の本格派右腕。誰にも負けない自信があっただけに「なんでぼくが...」という思いはなかなか断ち切れなかった。故障がうとましく、選手への未練が頭の片隅に残る。甲子園の夢をあきらめ切れず思い悩む日々が続いた。
 
 転機は、そんな自分を心配してくれている両親の気持ちに気づいたとき。「いつまでくよくよしてるんだ。いまは自分ができることを一生懸命にやろう。大学で野球をやることが両親への恩返し」。新たな目標を見つけ、迷いは吹っ切れた。
 
 グラウンドでは同級生にノック、ティー打撃で後輩にアドバイス。いまは周囲から頼りにされていることを励みに感じ、同じ選手兼マネジャーの渡口大輔選手(3年)とともに身を粉にしてサポート役を務める。紀三井寺でプレーできない悔しさや悲しさはもうない。「1つでも多く勝ちたい。自分の分までみんなに頑張ってほしい」と熱い思いをナインに託し、最後の夏へ向かう。