7041111.jpg 「みんなを信じて投げるだけ」。迫る本番を前に頼れるエースがけがを克服、戦線に復帰した。ことし3月、今季初戦となる練習試合前日に右ひじのじん帯を損傷。夏までに間に合うか心配されたが、6月になってマウンドへ立てるようになり、自慢の大きく落ちるカーブも日に日に切れ味が戻ってきている。
 昨年夏は3回戦の向陽戦に2番手として登板。「緊張して頭が真っ白だった」と振り返る夏の紀三井寺初登板だったが、何度もピンチを乗り切った。バックを守る先輩たちの「打たせていけ」という声を信じて全力投球。40年ぶりとなる8強進出を引き寄せた。
 大躍進となった夏の主軸の1人だが、新チームになってエースを任されて以降は一転。期待に応えようとの力みから空回りが続き、打ち込まれたり、一人相撲の投球が続いた。悔しさを胸に冬場に走り込み、雪辱を期した矢先に思わぬ故障。折れそうになった心を支えてくれたのは穴を埋めてくれた後輩2投手と、「夏は森に投げてもらいたい」と励ましてくれた森下侑三主将らチームメートだった。決して1人じゃない。けがの間、後輩の捕手役や道具の手入れを手伝いながらチームワークの大切さを再認識した。
 最後の紀三井寺はすぐそこ。「思った通りの投球ができるか不安もあるが、とにかく投げられることがうれしい。打たせてとる。仲間を信じ、思い切って投げたい」と再起のマウンドに燃える。