モンスターカレンダー

« 2017年2月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28

へうげものの最近のブログ記事

へうげもの21服.jpg
 1月18日の「SMAP×SMAP」、冒頭の生放送を観ました。
 明確にそのような文言はなかったものの、趣旨としては5人での活動を継続するということのようで。
 その点についてはひとまず安堵の思いを抱きました。

 その前後の状況に関して、言いたいことは頭の中で大量に渦を巻いており、巨大な積乱雲が形成されそうなのですが。
 いずれ冷静に文章化できるようになったら書いてみたいと思います。

 というわけで、気を取り直して。
 本当は「真田丸」直後に書きたかった、

 「へうげもの」21服(山田芳裕著、講談社)。

 いよいよです。
 「大御所様」の逆鱗に触れ、古織さんの命運がここで決定してしまいます...。
 
「いや......大御所様......なんであんなに可愛いのか......孫という名の宝物は」

 那古屋城にて、大御所・徳川家康に茶を点てる古田織部。

「近頃はお陰様にて平穏に過ごしておったゆえ......
 戦備えに慌てふためき......
 扇を忘れたを我が孫が気付き持たせてくれました......
 愚かな子でもよいものです
 己が駄目な所を補うてくれますれば」

 好々爺然とした満面の笑顔で、つと家康に茶を勧める織部。

「そういえば大御所様にも......
 西に大きなお孫様がおられましたな」

 実孫の千姫、孫婿の秀頼。

 しかし家康の表情は憮然としている。

「孫といえど御茶頭殿......
 度を越した悪さをする事もある」
 
 上にかぶせられた扇をはずし、茶碗を手にする家康。

「左様な折はきつく仕置くが......
 家を永らえさすには肝心よ」

 ぐいと茶を飲む家康を、冷えた苦い目で見つめる織部。

 そしてがらりと表情を変え、ハッハッハと哄笑。

「それがしはすっかり勘違いをしておりましたっ」

 そして家康の飲み終わった茶碗に湯を注いで濯ぎ、

「大御所様の仰っていた『泰平』とは......
 天下ではなく......

    徳川家の泰平が事だったのですな」

 口元に笑みを浮かべ、湯を捨てる。

 意表を衝かれる家康。

 言い終わった古織は、冷えた苦い表情に戻っている。
 眉間に刻まれた深い皺。
 
 自身の運命を決した爆弾を投げつけたことを、自覚しているのかどうか。

 そして、

「いや......
 結構にございます

 左様な泰平のためでも我ら一同
 千代に八千代に尽くして参ります」

 手をつき、丁寧に礼をする。

 その姿を凝視する家康。

 傘をさして雨の中、帰途につく家康主従。

「江戸の柳生に使いを出せ正純
 決して秀忠に伝わらぬようにな」

「ま......まさか......」

「仕留めるは戦が始まってからでよい
 さすれば敵兵に殺られた事にもできよう

 この世にひょうげものなぞ要らぬ」

 傘の柄を力込めて握り、暗い酷薄な翳りを宿す目で言い切る家康。
                        
 四角四面な価値観をしか持たぬ彼は、古織の「へうげ」を解する心を持たず、その存在を許すことはできないのだった。
 かくて、古織や有楽斎画策の「豊徳合体」はついに幻と終わることが決する......

 ......あそこで大笑いするところは、さすが古織さん。
 すでに覚悟の上の言葉であるのか...
 それとも、やむにやまれず発してしまった一言なのか......

 そして差し向けられた柳生宗矩との対戦は。

 川に立つ白鷺に触発されて閃いたのかどうか、

 夕陽に映える一本足打法。

 これもこの巻の白眉でした。

 往年のワンちゃんを再現した顔芸まで......。
 バット、いや剣を投げて喜ぶ背後には、大観衆まで......。

 二度目の襲撃を、見事な禿頭が跳ね返す満月の光で撃退。
 織部シンパだった公卿、近衛氏の最期に臨んではなむけに如意ケ岳に灯した大文字ならぬ「犬」文字。(五山送り火の起源って不明なんですね)
 
 と、見所満載の21服。
 
 そして、大坂の陣において西軍の心意気を示した砦「真田丸」。

 この21服の発刊は昨年12月下旬。
 NHK大河ドラマ「真田丸」放映開始直前という、心憎いタイミングでした。
 ここに登場する真田氏、凛々しくてダンディで素敵です。

 ともあれ。
 なんだかんだ言いながら長年のつきあいだった古田織部と徳川家康の関係ですが。
 ここへ来て、「大御所様」の徳川家至上の権力志向が顕在化。
 表面はともかくとして、ここでついに決定的に決裂してしまうのですね。
 かくして、徳川家は二度にわたる大坂の陣により天下を平らげ、磐石たる体制を布くこととなる。
 徳川家の支配による、完全なる封建体制の始まりです。

 長期にわたる強大な権力の一極集中は、260年の平和をもたらすと同時に、その下で活動する人々の自由に厳しい制限を課す。

 そういった封建的な関係は中世~近世のみならず、現代の各所でもいまだに散見することができます。
 御恩・奉公の関係は、鎌倉期の昔から今に至るまで消えてはいない。
 法的にも道義的にも何ら悪いことをしていなくとも、ただ権力者の意に反したがために自由を制限される事例がしばしばみられるように。

 そんな理不尽な権力者に向かい、闊達な笑いと共に思うところをすらっと述べた古織さんの心意気に学びたいものです。


MT42BlogBetaInner

プロフィール

サト 日高新報記者。文化関係等の取材、編集整理、連載随筆や投稿原稿の編集を担当。空いた時間が少しでもあれば、本か漫画を読まずにはいられない。料理や洗濯をしながらも、可能な限り本を手離せない真性活字中毒。常に面白い本の情報を求めています。音楽や映画、歌舞伎など舞台芸術も大好きです。ひのえうま生まれの女。

最近のコメント

PR

アイテム

  • ハイキュー21巻.jpg
  • 宇宙兄弟28巻.jpg
  • 進撃19巻.jpg
  • ワンピ81巻.jpg
  • ジャイキリ39巻.jpg
  • ハイキュー19巻.jpg
  • ペダル44巻.jpg
  • ハイキュー20巻.jpg
  • 文春.jpg
  • ダイヤⅡ2.jpg
MovableType(MT)テンプレート 無料(フリー)
Powered by Movable Type 4.25