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2012年6月アーカイブ

ワンピブルーディープ.JPG
 「ONE PIECE BLUE DEEP キャラクターズワールド」(尾田栄一郎著、集英社)。
 3月に出てたみたいだけど、わりと最近買いました。
 レッド、ブルー、イエロー、グリーンに続く、データブックシリーズ第5弾。
 以前の「CHARACTERS」の深化した版ですね(前はレッドだったけど)。

 今回は!
 誰や~コレ~さすがにここまで覚えてない~というキャラクターのオンパレードです(笑)。
 それは主に、白ひげ海賊団の隊長達、白ひげ傘下の海賊達、海兵達。
 確かに隊長達はSBSでも紹介されてましたが、それでもちゃんと名前と顔が一致させられるほど把握できてはないです。そんなに記憶力ない...。
 で、そんなマニアックなキャラとおなじみのメンバー達と合わせて、総勢331人。
 すごいな。
(白ひげ海賊団12番隊長のハルタって男性か女性かどっちだろうと思ってたんですが、やっぱり男性かな? なんだかムーミンのおしゃまさんに似てますね)

 ちょっとすぐに全部は読みきれなかったけど。
 頭の中に立体的なワンピ世界の地図が立ち上がって、その深部にずんずん入り込んで遊泳しながらじっくり探索してる気分を味わえました。
 おさらいしながら、思い出したことや新たに知ったことを頭の中の年代記に書き込んでいってる感じ。  
 データによって世界を脳裏に再構築してる感じです。
 キャラの掲載が話の進行順じゃなくてアイウエオ順になってるので、忘れてた頃に忘れてたキャラがひょっと出てくるのが楽しい。
 
 でも私にとって、有効なデータとして何より興味深かったのは。
 巻末近くの尾田さんの一問一答、それにスタジオジブリ・鈴木敏夫さんとのトークでした。

 作品だけに接していれば充分なようだけど、やはり創作のバックグラウンドにあるいろんなエッセンスは、読者としては知りたいものです。
 絵画なんかでも、「絵自体を観て何かを感じればそれで十分、絵にまつわるエピソードや作者の意図などあえて知る必要はない」とか言われることもありますが、その時の作者の状況とか、象徴しているものなどを知ってから観賞するのと、なんにも知らないで観るのとではやっぱり違うと思うんです。
 物語を知ることによって、絵が何層にも奥行き深く見えることも、その真髄を感じ取ることもあり得ると思います。
 
 トークでは、鈴木さんが「ワンピースってすごく日本的」だと言われていたのが印象的でした。
 
 話はちょっとそれますが、「ワンピース世代の反乱、ガンダム世代の憂鬱」(鈴木貴弘著、朝日新聞出版)という本を以前に読みました。
 大まかにいうと80年代生まれ、60年代生まれ(ホントはもっと細かい分け方ですが)のそれぞれの行動原理などを対比させて論じるため、便宜上各世代を代表する人気アニメをシンボルとして使っているのであって、必ずしも実際のワンピースファンとガンダムファンを比べているわけではないのですが。
 (私自身はバリバリにガンダム世代ですが、作品としてはどっちも、比べられないくらい大好きです)(あ、ワンピはアニメじゃなくて漫画の方に限ります。アニメはちょっとしか観ていないので)(ガンダムの方は、ファーストシリーズに限ります。Z以降はまったく観てません。劇場版の「逆襲のシャア」だけは友人に引きずられて観に行きましたが)
 本書の視点と論旨は大変興味深かったですが、それはそれとして、「でもワンピースの中には、古き良き日本人の美意識や価値観が脈々と生きて流れてるんだから、一概に若い世代の人達の行動規範をこの作品に求めることはできないんじゃ」と思ってました。

 で。
 ブルーディープのトークと一問一答を読んで、任侠ものに落語と、日本人のDNAに生き続けている感性や価値観がやはりワンピには脈打っているんだなと確認できたようで、大変参考になったのでした。                 

 あと面白かったのは、「船」。
 お~そーいえばこんな船あったな~デザインも全部それぞれ違うんだな~(当たり前?)と、感心して読み入ってしまいました。
 あらためて、スリラーバークってスゴイ船だったんだな~とか。
 カラス丸! タルタイガー号! なんかなつかしい~とか。
 エースのストライカー! 群を抜いてカッコいい~とか。
 船ばっかじゃなくて乗り物全般、青キジの青チャリとか魚人島のお魚バス(かわい~ですねコレ)まで載ってる。
 ノアってこうして見ると、なんだかすごいデザインですよねー。

 ところで。
 いろんなトコでエースの絵を見ると、あらためてカッコよさと存在感にドキッとしてしまいます。
 18巻で初登場、あと45巻までほとんど出てこなかったのに、この人の存在ってホント大きかったんだな~と。
 
 それと、偉大なるご当地グルメ。 
 こーいうの好きだな~。
 モックタウン・酒場で出された、ルフィいわく「死ぬほどマズイ」、黒ひげティーチいわく「死ぬほどうめぇ」チェリーパイ。
 空島・エンジェルビーチのヤシの実にも似たコナッシュ。
 空島・酋長とガンフォール好物のカボチャジュース。
 ウォーターセブン・とろけるように柔らかい水水肉。
 ハチがタコヤキ8で売る、伝説のタレを使ったたこ焼き。
 
 私も、ずーっとさかのぼってサンジ君の調理録を紹介してみたいな~。

 ところで。
 仕事柄、細かい誤植とかが気になってしまう私でした。
(これだけの情報量、校正はさぞかし大変だったことでしょうと推察致しますが...)
 ドリーの項目とか。
 なんでドリーが「ライバルのドリーと100年以上決闘を続ける」んだよ!
 それと、ブラハムが見当たらないんですが...。
 ワイパーもカマキリもゲンボウもいるのに...。
 バロックワークスのエージェント達とかも、かなり省略されてる?

 あ~「25巻以降のキャラをピックアップして掲載」か...。
 じゃ~しょうがないか。
 ブラハム好きなんだけどな。
 次元大介とか、帽子で目を隠したキャラが好きなんで。
 ブラハムと戦う時のゾロの、「悪かった てっきりザコかと」の顔もカッコよかったなー。

 というわけで、私には大変楽しめた1冊でした。
 記憶力があんまりないのでまたなんべんも読んでさらに深く楽しむと思います。
 この次に出る時は、何色になるのかな?
87クロッカーズ.JPG
 書きたいネタが多すぎて、全然当初の予定に戻れない...。
 でもまあとりあえず、今書きたいものをどんどん書いていきます。
 
 あの「のだめカンタービレ」(二ノ宮知子著、講談社)に続く新作がついに登場!
 「87CLOCKERS(エイティセブン・クロッカーズ)」1巻(二ノ宮知子著、集英社)。
 
 今度は少女漫画じゃないですね。
 ジャンプ改にて連載ということで、青年漫画に入る?
 (でもこのジャンル分けってどの雑誌に載ってるかってだけで、作品そのものはどっちに入っても別にいいって感じですねー。これに限らず)

 主人公の市ノ瀬奏(かなで)君(「ちはやふる」のかなちゃんと同じ名前だな...)が音大生であるという設定だけが、かろうじて「のだめ」ファンとの架け橋になっている。
 あとは...
 完全に未知の世界に分け入っていく感じ...。

 オーバークロックって何だ!?
 パソコンをどれだけ速く動かせるか~???
 そ~いう分野はさっぱりで、文書を打つのが精一杯、ちょっと困ったことになるといちいち詳しい社員に泣きついてはどうにかしてもらうばかりの私には、何がなんだか...。
 とか言いながらも。
 二ノ宮さん持ち前のノリのよさ、一筋縄ではいかない登場人物達のパワフルな言動にのせられてずんずん読んでいくと、これがなかなかの面白さ。
                         
 奏くん、音大3年生。
 楽器はバイオリン。
 いい線いってたのに、「競争とか争うことがキライ」で各種コンクールから逃げ続けるうち、誰にも期待されなくなる。 
 サラサラ髪に細い黒ぶちメガネ、整った顔立ちだけど気弱そうな、見るからに「草食系」。
 「オレ様」だった千秋先輩とは全然違う...と思ったら、奏が偶然出会い心惹かれた「はだしの美少女」の周辺にそのようなキャラが登場。
 アパートの一室で、液体窒素を使いパソコンを冷やすことに情熱を燃やし続ける不思議な青年、「MIKE(ミケ)」。美少女・ハナは恋人でもないのにミケにこき使われ、バトウされながら、ミケがオーバークロックで世界記録を更新し続けるべく尽くし続けているのであった。
 ハナに心動かされた奏くんは、彼女と同じ世界を共有したいがために高価なパソコンやパーツをそろえ、オーバークロックの世界へと後戻りのできない旅に出る...。

 ネットでオーバークロックを調べてみました。
 昔、藤子不二雄さんの漫画のどっかで、主人公が理解不能の専門書を読む場面で「バッハハイをケロヨンに入れて...」とか表現してたけど。
 そんな感じですね。
 理解不能な単語が並んでいる。
 あとがきで二ノ宮さんはF1とか車にたとえてたけど、車体の色ぐらいでしか車を識別できない私には、やっぱりさっぱりです。
 でもそんな状態の私にも、奏くんを案内役としてこの特殊な世界(ですよね? そうでもないのかな?)の物語をテンポよく面白く読ませてくれるんだから、やっぱこの人はすごいです。
 横暴なMIKEに尽くす美少女・ハナとは別に、
 女性版MIKEのような強引な美女・ジュリアも話に乱入してきたところで次巻に続く。
 「のだめ」とはまったく別世界ですが、ノリとテンポは同じといっていいでしょう。MIKEが気に入ったので、また続けて読むと思います。
宇宙兄弟18.JPG
 「宇宙兄弟」(小山宙哉著、講談社)。
 17巻まではレンタルで読んだんだけど。
 最新18巻は店頭で見つけて、即買っちゃいました。
 レンタルで出るまで待ってられない。
 月面での事故が原因で、宇宙服を着ると発作の起こるPD(パニック障害)に罹ってしまい、第一線から外された弟・南波日々人。
 果たして再び宇宙飛行士に戻ることができるのか!?
 で、その復帰テストの最中に警告音が鳴り響き、日々人が動揺するところで前巻は終わった。
 これは、最新巻が出た瞬間に続きを読まないワケにはいきません。
(内容を思いっきり書ききってしまいますので、18巻をまだお読みでない方はどうかそちらを先にお読みください)

 「これは...何のための試験なのか...ヒビトを試すためなのか 救うためなのか」

 試験を行う室長の言葉で。
 ハッ、とこの「試験」の目的の本質に立ち返らされます。
 宇宙計画の無事遂行を期すため、不安のあるクルーは合格させない。
 難問を与えてスキあらば落とす。
 そういう性質の試験ではなかった。
 兄・ムッタの陰の心遣いにより、ヒビトを助けるために月面での仲間がサポートに駆けつける。
 ムッタがくれたお守り「PD(プリティー・ドッグ)」の写真とともに、彼ら仲間の存在がヒビトの心を力強くすくいあげていくのであった。
 はじき落とすことが試験の目的ではない。
 一人の人間の心を救う、そのことが、宇宙で働ける貴重な人材を生み出すことになる。
 上に立つ人がイキなはからいをするのって、なんだかグッときますね。

 気になるクセに気にしないフリをしているムッタ。
 終了時間には試験場へ駆けつけたいけれども、「弟のために走る兄」というのはちょっと...などと自分に言い聞かせて平静なフリをしている。
 でもそれはフリだから。
「『弟のために走る兄』の姿というのはちょっとあれじゃない...?」とクールを装って言いながらも、せりかちゃんに「かっこいいですよね」と明るくストレートに言い放ってもらうと即座に「ですよね!」と心を決める。
 で、「食べたあとすぐ走ると横っ腹が痛くなる」などと文句を言いながらも、横っ腹を押さえて懸命に走っていく。
 そして。
 駆けつけた試験現場で遠くから目にしたものは。
 仲間達の祝福を受ける日々人の、上気した笑顔。

 「俺の横っ腹返せ...」

 声はかけずに横っ腹を押さえて戻りながら、安堵の思いをかみしめるムッタであった。
 
 よかったよかった。
 落ちることはないだろうなーとは思ってましたが、でも合格する瞬間までは何が起こるかわからないと、自分が日々人になったみたいにドキドキして読んでました。
 この作品って、体温の感じられる丁寧な描かれ方がいいんですね。どんな展開も。
 
 そして後半。
 兄・ムッタの次なるステップ。
 
 チームワーク、信頼関係が命となる宇宙での仕事。
 その点においてかなり問題アリの、コミュニケーション力に難のある困った宇宙飛行士ばっかりを寄せ集めたチーム。
 そこに起爆剤?としてムッタを放り込む。
 何らかの化学変化を期待して。
 リーダー不在のグループである、という課題点をいち早く察知するムッタはさすが。
 そして遅れてやってきたリーダーは。
 
 ムッタと日々人、「宇宙兄弟」を目指す2人からすると先輩格?の、
 亡きブライアンの兄、エディであった。
 
 引退を考えていたエディが、心を決めるエピソードはよかったですね。
 人生は一度きり。
 安泰を選ぶか、昂ぶる心のままリスクと背中合わせの充実の生を選ぶか。
 
 それはこの作品の大きなテーマの一つでもあるかもしれない。

 次巻の方が、この巻よりも大きく話が動きそうな気がする。
 先を楽しみにできる漫画がまた一つ増えてうれしいです。

 

アルタイル.JPG
 「将国のアルタイル」1~10巻(カトウコトノ著、講談社)。
 私にペダルを教えてくれた工務部のHさんからお借りして読んでます。

 こっこれは...
 日本史大好きだけど世界史の授業ではあっぷあっぷしてた私には、かなりの難易度の高さだ...というのが最初の印象。

 いや実際の世界史とは違うんですが。
 完全に独自の世界観が展開してる、架空の世界なんですが(とはいっても細かい部分の想定とか、凄い)。
 
 時代背景は、こっちの世界でいうところの中世のイメージ。
 中東からヨーロッパの感じ?
 舞台は、ルメリアナという名の大陸。
 広大な国土、強大な軍事力を駆使して大陸制覇を目論むバルトライン帝国。
 それを阻止せんと戦略を巡らす、隣国のトルキエ将国。
 周辺の多彩な国々を巻き込んで、刻一刻と変化していく状況。
 
 主人公はトルキエ将国13将軍の1人、最年少で将軍の座に就いた「犬鷲の将軍」マフムート。
 ルメリアナにマフムートに、この耳慣れない語感がまず難問で、いっしょけんめ覚えましたよ。
 地名、職名、人物名。
 職名とかに全部現地の言葉でルビ振ってるから、一層なじむのに時間がかかる...。
 でも、絵柄はど真ん中ストレートに私の好みなんですねー。
 クールで知的なマフ君。
 サラサラ金髪、涼しげなキレ長の目、うすい色の瞳。静かな笑みを浮かべた口もと。
 片方の目が常にサラサラ前髪で隠れてるところが、一層クールさを感じさせる。
 実際、頭も切れる。
 最初はなんだか頼りなくって手探り状態のお坊ちゃんだったのが、巻が進むに連れてどんどん賢くなり、同時に話が加速度的に面白くなってきました。
 マフムートの画策により、四将国が次々と見事に世代交代していくところとか。
 歴史物の醍醐味である、登場人物の謀略によって事態が音を立てて動き出す感じが
いい。
 7巻、8巻、9巻と、描線も生き生きと精彩を放って見えます。

 正直、最初はう~ん~と理解するのに苦労しながら読んでいましたが、世界の構築と筋立てがわかってくるに連れてどんどんハマっていきますね。
 異世界ファンタジー(あ...でも魔法とか超自然系の要素はないですね)、海外戦記ものの好きな方にはたまらないかも。
 
 ムズラク将国の将王バラバンの弟、黒髪の聡明な若者バヤジット(名前が覚えにくい...)。彼の、自らの手で成敗しその地位を奪った兄への思いの描写が。私には結構ツボだったです。
 女性キャラもまた、それぞれに異彩を放っている。
 タンカを切る時の蓮っ葉な感じが魅力の女侯爵レレデリク(名前が覚えにくい...)。
 「~なのじゃ」といった、近世の武家の娘のような古風で威厳ある言葉遣いが魅力のバルタ将国宰相(前将王の娘で現将王の姉)、「洋梨のアイシェ」(これは覚えやすい)。
 
 今後の展開で私が注目したいのは、同じトルキエの将軍ながら、最初の方からマフムートと対立する存在として描かれていた「毒薬の将軍」ザガノス。対バルトライン帝国に強硬論を主張している。
 これから、この人の存在が大きくなってきそうな気がします。
 なんとなくですが。 
 ところでタイトルの意味を考えてみました。
 「アルタイル」とは、七夕の彦星としておなじみ、わし座の恒星の名ですね。
 ウィキペディアで調べてみたところによると、「アルタイル」という言葉はもともとアラビア語で「飛び立つ鷲」を意味するそうです。
 将国の飛び立つ鷲。
 マフ君のことですね?
 (ちなみに織姫星の方は夏の大三角形の一つ、琴座のベガですが、「ベガ」という言葉はアラビア語で「急降下する鷲」を表すとか...。意味的にも対になってたんですねーアルタイルとベガ)

 とっところで、前回書いた「銀の匙」の著者の荒川弘さんって、女性だったんですね!! ネットで調べて知りました。
 有川浩さんも読むまでは男性だと思ってたけど、最初に読んだ作品「Story Seller」の途中で、「あ、女性だなこの作者の人は...」と分かりました。
 けどこっちは、まったくわからなかった!
 あの「百姓貴族」の語り手のウシさんが女性だったとは!
 や~意外で面白い。

銀の匙.JPG
銀の匙2.JPG銀の匙3.JPG













 「ちはやふる」に続いて「あさひなぐ」「ましろのおと」「花よりも花の如く」「昭和元禄落語心中」と、日本の伝統文化シリーズを次々に紹介したいなどと言っていたのに...。
 こないだうち、全然別々にそれぞれ違う理由で買った作品がおんなじ作者だったのが面白かったので、一挙に紹介します。

 「銀の匙 ~silver spoon~」(荒川弘著、小学館)
 「百姓貴族」(荒川弘著、新書館)
 「三国志魂(スピリッツ)」(荒川弘著、コーエーテクモゲームス)

 「銀の匙」は、久々に少年サンデーを買ってみた中でなんだか心ひかれた作品だったからコミックスを買いました。

 「百姓貴族」は、元々コミックエッセーというジャンルが大好きで、特にあまり知らない業界のコミックエッセーなら面白く読めるんじゃないかな、キャラクターの絵もなんだかかわいい(ウシですが)と買いました。

 「三国志魂」は、猿之助さん一門の襲名披露公演で、13年前に観た「新・三国志」を思い出したこともあり、「STOP劉備くん!(との!それはなりません)」(白井恵理子著、角川書店)を読んでたからキャラクターの感じも把握してるし、と買いました。

 あんまり何も考えずに、立て続けに3冊。
 そしたら...

 全部おんなじ人やん!

 こうなったら「鋼の錬金術師」も読まないと...

 「銀の匙」は、ことしのマンガ大賞受賞作品なんですねー。
 最新3巻は、ホンモノの銀のスプーン(メッキだけど)が付録についてて高かった! 
 
 話はちょっとはずれますが、私には「銀の匙」といえば中勘助。
 昔、ふる~い本を父に借りて読みました。
 古い引き出しを開けると子供の頃にお気に入りだった銀の匙が出てきて、そこから幼い頃の断片的な思い出を次から次へと思い出していく、という話。
 ストーリーはあってないようなもので、書かれている情景や心情そのものの美しさをかみしめるように味わう、詩に近い純文学ですね。
 細かいところはほとんど覚えてないのですが、とにかく「珠玉の」と表現したくなる、とてもきれいな話だったという印象があります。
 そしたら先日書店で、角川文庫で新しい版が出ているのを見つけて、懐かしくって購入しました。まだ全部読み返してはいないけど、思っていたよりも文章にとぼけたユーモアがたたえられているのに気づきました。
 日本語の美しさ、叙情的な文章の味わい深さに関心のある方にはお勧めです。

 で、漫画の方の「銀の匙」は。
 全然それとは関係ないみたいですね。
 ヨーロッパでは食べるものに不自由しない一生を送ることを「銀のスプーンをくわえて生まれてきた」と表現するそうですが。それかな?
 
 少年サンデー(小学館)掲載作品の特徴の一つは、ストーリー性の高さだと思っているのですが。
 見やすい絵柄、年齢層の高い読者をも話に引き込む現実的な設定、淡々としているようで的確な心情描写がサンデーらしいと思いました。
 で、これまで少年漫画にはあまりみられなかった(かな?)テーマ。
 真面目に「食」を考えるということ。
 
 舞台は北海道、大蝦夷農業高校(エゾノー)。
 広大な敷地内で繰り広げられる、自然と、家畜と、作物と、つまりは人間の生命を養ってくれる生命達とがっぷり四つに取っ組み合う充実感100%の高校生活が、ダイナミックに描かれます。
 元優等生の主人公、八軒勇吾。
 これまでの価値観に行き詰まりを感じ、農業とは無縁のサラリーマン家庭の次男坊ながらエゾノーで寮生活を始めることになる。「家を離れられるから」というだけの理由で。
 周囲はほぼ全員農業のエキスパート。
 そんな中で次々と眼前に現れる難問に、最初は拒否感全開の反応をしながらも結局は全力で立ち向かい、格闘する八軒。
 
 面白いです。
 (2巻のピザ作りの奮闘記は面白かった! 映画とかで観たい感じ)
 でもまだ3巻、「食」を生み出す農業への八軒の真の理解の旅はまだ始まったばかり。もっともっと先行きを、テーマの深まりを楽しみにできる漫画だと思います。
 だから個人的には、マンガ大賞はも~ちょっと巻を重ねてからの方がよかったんじゃないかな~と思いました。
 掲げられているテーマはすごく深いけど、本来は、それが物語の展開に従って掘り下げられていく過程をもっとじっくり読ませてもらってから評価するべきなんでは?と今の段階では思ってます。

 候補に上がった作品の中では、私は6巻まで出てる「信長協奏曲(コンツェルト)」にとってほしかったです。
 知恵とセンスと情熱がみなぎっている。
 (候補の15作品中4作品しか読んでないから言えないんだけど...)
       
 まだ評価が定まっていない巻数の作品を対象とするため、最新刊が8巻以下の作品という条件になっている賞なんですが...。
 それでもある程度物語の目鼻がついてきてからでなきゃ評価はできないんじゃないかな~と私には思えます。
 
 でも、お勧めな作品であることは確か。
 明るいノリで、なおかつ真摯に描かれているところがいいです。
 4巻は7月発売!
 「名前つけちゃダメだよ」と言われながらも名付けてしまったベーコン用子豚「豚丼」の肉を手に、八軒は何を思うのか...?
 
 次、「百姓貴族」1~2巻。
 個人的には、3点の中ではコレが一番面白かった。
 目からウロコのこと、
 う~んと考えさせられること、
 笑えることが満載。
 野菜や牛乳が大好きな人なら、いやそうでなくてもご一読をお勧めします。
 さりげなく語られることの中に、事実の持つ迫力があります。
 橋の落ちた川を軽トラで飛び越えた、「荒川家のお父さん伝説」も笑えて迫力がある!

 ほんで「三国志魂(スピリッツ)」上・下。
 これは~...もともと「三国志演義」が大好きな方にはお勧めです。
 (特にNHK人形劇「三国志」ファンの方)
 あまり知らないけどこれから「三国志」をイチから知ろうという方には...ちょっとお勧めできないかも...(それなら「STOP劉備くん!」の方が...)。
 熱がこもってるのはいいけど、暗黙の了解事項が多すぎる(笑)。

 キャラクターとか設定をある程度知っていれば、4コマは楽しい。
 そもそもコトの始まりとなった「黄巾の乱」は。
 張角が雑誌を立ち読みしてて、占いコーナーで「ラッキーカラー...黄色、ラッキーアイテム...頭巾」だったために始まってしまった...。
 これは笑った。
 こ~いうバカバカしくて楽しい4コマが左のページで展開され、右のページでは荒川さんと杜康潤さんの三国志偏愛トーク。
 各回のあらすじは書いてくれていますが、なんにも知らない状態でこのあらすじとトークと4コマだけ読んで三国志の面白さを知ろうったって、それはまあムリじゃないかな~。
 ファンの人が座談会を傾聴する気分で読んでいけば、かなり楽しい本だと思います。
 表紙絵の3人のキャラ、左のカッコよさげな人が劉備かと思ったら孫権だった...劉備は真ん中のおトボケ顔の人。主人公格なのに...(そ~いうキャラだから仕方ないか...)。曹操はイメージ通り、右でした。

 それにしてもいろんな世界のある人ですね~荒川さん(銀の匙と百姓貴族は同じ世界といえばそうだけど。でも描きぶりが違うから)。
 近いうちにホントに「鋼の錬金術師」を読むかも。
 全27巻か...。



ペダル23巻2.JPG
 「弱虫ペダル」23巻(渡辺航著、秋田書店)の後半。
 「覚醒する今泉」その他の感想をいきます。
 
 22巻は表紙絵が前半、裏表紙絵が後半の内容を表しててちょうどよかったけど...
 23巻って表紙も裏表紙も、どっちも鳴子やん!
 でもこんな、裏表紙の絵に風景画が入ってるのって珍しいから、撮っておきますね。

 さて。
 「山」でスプリンターが脱落するのは当然...と思われるところ、必殺技を次々繰り出して霊峰・富士の登りコースを「意地」で引き、宿敵・ハコガクチームに追いついた鳴子。

 その走りと失速、落車までをしっかり見届けた今泉は、覚醒する。

 「成長しろ この3日間でだ」

 インハイ前の、主将・金城の今泉へのオーダー。
 初日にも2日目にも、それを実現する片鱗はあった。

 ここからちょっと、これまでの今泉を回想していきます。

 幹ちゃんの回想によると、「感情的な走り」をしていた子供時代から成長、いまはすっかり洗練され、抑制のきいた頭脳的な走りをするようになった今泉。
 「自転車は頭脳で走るスポーツ」だとまで言っていた最初の頃。
 
 しかし。
 それだけでは、ゴール前という特殊な領域を戦うことはできない、と。

 それを今泉にイヤというほどわからせたのが、箱根学園エースアシスト、「ハコガクの狼」我らが(?)荒北靖友。
 そこで戦えるのは、選ばれた真の勇者か野獣だけだ、と。
 (選ばれた真の勇者が福ちゃんで、野獣が自分だと言いたいんだね...)

 「おりこうちゃんだからな」

 と揶揄されて頭に血の上った今泉はそこで理性のタガが外れ、自身も気づかずに奥底に抱えていた獣性を目覚めさせ、荒北と張る全開の走りで金城を引いていく。
 コレに関しては、今泉くんは荒北くんに感謝していいかもしれない。

 しかしそのあと因縁の相手・御堂筋に心をかき乱され、迷いの淵に落ち込んでしまう今泉。それを2日目にも盛大に引きずり、金城さんに厄介をかけてしまうのであった。
 御堂筋による攪乱で混乱の極致に陥り、ヘルメットを地面に叩きつけてあわやリタイアかと思われたが、懐が大きくて辛抱強いさすがのリーダー、金城さんの的確な指導により浮上。「プライドのかたまりのヒヨコチャン」だった心のもろさを克服し、粘り強さを身につけていく。
 
 そして。
 3日目、ラストステージ。

 「今大会中最大の山」というか、日本で最大の「山」に入る。

 スプリンターであるはずの鳴子が、根性と隠れた努力の結晶である驚異の引きで、自分たちをトップの箱根学園にまで届かせてくれた。
 ここから、自分たちの力と判断で、自分のすべての要素をフルに使って勝負しなければならない。
 
 田所の、
 金城の、
 そして鳴子の意志を背負って。

    鳴子...!!
    
    カッコつけすぎなんだよバカヤロウ
    一番よ
    その絵空事みたいな約束 守りたかったんだろ
    おめェが!!

    (ギラッ)(と、目が光る)
    だったらやってやろうじゃねェか

    オレが!! 獲ってやるよ
    トップゴールを!!

 歯をくいしばって走る今泉を先頭に、自分達の横に並んだ総北4人を見やる箱根学園。

 エース福富が、冷厳な口調で問う。

 「きかせてもらおう
  金城の代わり...
  エースはどいつだ!!」

 「どいつだ」という乱暴な物言いに、福富の金城への思い入れが表れている(ような気がする...)。

 そして。
 本気で走る前の泉田塔一郎のように、ジャージの前をジイイイイ...と閉めながらそれに答えるのは。
 
 1年生、これまでエースアシストを務めてきた今泉俊輔。

 「総北の...
  エースはオレです」

 それぞれに、ある驚きをもってその言葉を受け止める箱根学園3人、そして坂道(が一番ビックリしている)。
 だが総北3年、巻島は会心の笑みと共に言い放つ。

 「よく言ったショ!! 今泉!!」

 「勝負です 福富さん」
 
 という今泉の顔に表れている緊迫感は、これまでとは次元の違う覚悟なのだろうか。

 箱根学園はエース自ら出て、自分達のチームとカベとの間に総北を挟みこむようにして抑えにかかる。
 
 「うおおおお」
 
 叫びながら、カベでヒジを激しく摺って行くのもかまわず、猛スピードでわずかな空間をすり抜け前へ躍り出る。
 ヒジから血を飛び散らせながら。

 そうして逆に福富を抑えた今泉。
 それまで「1年」と呼んでいた福富は、そこで初めて名前を呼ぶ。

 「なるほど...単にエースを名乗っているだけではなさそうだな 今泉!!」

 (でも前から思ってたんですけど、ジャージとかに別に選手の個人名は書いてないですよね? みんな、他チームのメンバーの名前を結構フルネームで呼んでるけど、事前の資料とかですでに把握してるんでしょうか? 学年とか人相的特徴まで?)

 そしてレースの場はゴールまで15キロ、
 最後の勝負所、
 富士あざみラインに。
       
 激坂の連続。
 一瞬でも気を抜けばたちまち重力にやられ、登り続けることが困難になる。

 そんなところで大胆にも一人、アタックに出る!
 インハイ経験者には思いもつかない大胆すぎる勝負に出た、
 1年今泉俊輔!!

 予想外のアタック――
 しかも、ある手ごたえ、可能性を感じさせる。
 それに動揺させられてしまう箱根学園エース、福富。

 自分の攻撃が相手に動揺を与えているという手ごたえ。
 そこから生まれる自信。
 勝負の最中のそれによって、飛躍的な自身の「伸び」を体験する今泉。

    なんだこの感覚――
    「わかる」!!

    道がどれくらいの斜度で
    ギアは何段目を選択して
    何%のパワーでいけば
    どのコースを登れば

    最も効率よく進むか
    ゴールまで最短か――
    
    自分の進むルートがわかる

    神経がギリギリまで研ぎ澄まされた感覚ってこんな感じなのかな...
    ニオイも音も
    ムダなものは一切入ってこない...

    やっぱ先頭
    すげぇ静かだ!!
  
    このキモチよさは

    強くなるキモチよさだ!!

    腕も 脚も 髪も
    入れ替わってる 数秒単位で
    細胞が!!

    わかる オレは今
    成長している!!

       ドクン

    勝てる...!!
    
    オレは
    優勝できる

 わー、ダメだって今泉くん!!
 勝負の最中に早々とそんなこと思っちゃったらダメだって!!

 と思ってるうちにホラ、はるか背後からあの、例の「執念の男」の気配が...

 その執念の男を支える「がまんとド根性の男」、石垣光太郎はここで、最後まで熱くさわやかに...
 すべてを出し尽くし、御堂筋にすべてを託してリタイアしていきます。

    石垣くぅん
    キモすぎやわ

 髪と、欠けた歯と一緒に、2日目終了時のダメージはきれいさっぱり振り落としてきたかの御堂筋。
 
    何人たりともボクの前は走らせんよ 

 とか、何かの漫画のF1レーサーみたいなことを言いながら、

    所詮はザクレベルや!!
 
 と、長いベロを外へ放り出してのブキミな笑顔を復活させるのであった...。
    
 「え?」
 「!!」

 ...その気配をいかなる力によってか察知する(ロードレース選手はみんなテレパスなのか?)、前方の不思議ちゃん2人...。

 24巻に続く!!

 う~個人的には、荒北くんがあんなに頑張って支えた福ちゃんが1年生にやられるところなんか、あんまり見たくはないような...
 ま~でも、このギリギリの勝負の行方が果たしてどんなラインを描きながら決着していくか、今のところまったく見当がつきません。
 決心してチャンピオン本誌も読むのを我慢してるし。
 (「フルット」とかはコミックスが出たらまた買おう...)
 でもチャンピオンにはジャンプにない「味」がありますから(もちろんジャンプにもチャンピオンにない味があります)(サンデーにもマガジンにも...そんなこと言い出したらみんなそうだけど...)、まだお読みでない方は一度読んでみてください。
 
 と思ってたら、別冊チャンピオンが創刊されたみたいですね。
 巻末にはフルットも載ってるとのことで、あ、読んでみようかな...と心が動いたのでした。

ペダル23巻.JPG
 「弱虫ペダル」23巻(渡辺航著、秋田書店)。
 22巻から2カ月連続発売!  
 (内容を思いっきり書ききっていきますので、「ペダル」読者でまだ23巻をお読みでない方は、くれぐれもそちらを先にお読みください)

 この巻は、一言でいって濃いです。  
 
 あのシンプルな戦いの構図は、山へ入るまでのことでしたね。
 「山」に入ったところから、予測のつかない展開の連続。
 レースは混戦の様相を呈し始めます。
 吹き荒れる嵐の予感を示しつつ、物語は次巻へと続くのです。

 でも今回は前半だけ書きます。

 この巻の序盤で、ようやく明かされる最終到達点。
 「山」とは。
 桜とともに日本人の美意識の原点である、
 霊峰・富士。
 その5合目に、ゴールはある。
 つまり、登りきってそこでゴール。
 その後の下りはない。  
 いわゆる「頂上ゴール」。

 富士山5合目!?
 修学旅行で行ったけど、あんなトコまで自転車で行けんの!?
 延々と登り続けて!?

 標高2000㍍
 雲も眼下に見る

 そんなところで、この3日間の決着はつくんですねー。
 
 まあとりあえず、表紙から順番にみていきましょう。

 表紙は!
 もう、コレしかないでしょう。
 「赤いマメツブ」(by田所)
 「浪花のロケットマン」
 「最速デーハー」を目指す、
 総北1年生スプリンター、鳴子章吉!

 赤いピナレロ。
 赤い髪。
 瞳も、ギラギラ燃える真赤な血潮がそこからのぞいているかのように赤い光を放っています。
 黄色いはずの総北ジャージも...。

 そして裏表紙。
 鳴子の活力源、湧き起こる声援と観客達。
 その真ん中を登っていく総北4人の後ろ姿。
 ここの路面まで赤い...さすがだ。

 「ワイは友達と自転車をこよなく愛する男 鳴子章吉や!!」

 と、2巻で華々しく登場。
 1年生レースの男っぷりで読者の心を鷲づかみにした浪花のスピードマン鳴子ですが。このインハイでは今までのところ、あんまりパッとしてなかったんですね~。
 しかしここへ来て。

 比較的部員数の少ない総北ならでは、学年間を超えた絆の強さが生かされ、エーススプリンター田所の教えを反発しながらもこっそり実践した鳴子が。
 「登れるスプリンター」として驚異の力を発揮する!!

 田所さんが「肉弾頭」なら、鳴子くんは「弾丸」でしょうか。
 軽くてスピーディーで、思いっきり派手な赤い弾丸。

 派手(デーハー)でなければ生きてはいけない鳴子くん。
 ラストステージ、1・2日目とは比べものにならない数の観客の声援に、
 「おーきに!! おーきに!!」
 と人なつっこい笑顔で左手を掲げ、ハイタッチの連続で応えるのであった。
 「なんかオモシロイのいるぞ!!」
 「総北応援しようぜ!!」
 「総北!!」
 「総北!!」
 沸く観客。
 総北コールがビッグウェーブとなって、選手の心をも奮わせる。
 ここんとこは、読んでる方も気持ちが盛り上がりますねー。
 サッカーなんかでもホームとアウェーで全然気持ちが違うみたいに。

 声援って、ちゃんと伝わるし力になるんですね。

 「デーハードヤドヤクライム」(...)
 「必殺アームストロングクライム」

 続々打ち出される必殺技と、根性と、捨て身の走りで。

 限界を超えた体力の発揮に酸素の供給が追いつかず、視野が極度に狭くなり、後方からの坂道のナビゲーションに従って走る鳴子。

 「ゆっくり右!!」
 「しばらくまっすぐ!!」

 叫びながら坂道は、もうぼろぼろと大粒の涙をあふれさせている。
 あの春の1年生レースであとの走りを坂道に託しながら、
 「ワイの根性注入したる 折れるなや くじけるなや」
 と、鳴子が手を握ってくれた時のように。

 そして。
 ついに。
 登りでハコガクに追いついた!!
 鳴子章吉!!

    見えんけど...
    わかるわ 肌で...
    このカーブの先に
    おる!!
    おるやろ!!
    
 見えない目を見開き、ニヤッと笑う鳴子

 前方で、箱根学園の3人が振り向く。

 「そのビックリ顔 見たかったわ!!」

 そして――

 失速する鳴子。

   鳴子
   今 オレは 心からおまえに言う
   
   おまえは凄い男だ!!

 出会った時からこれまで鳴子と張り合い続けてきた今泉は、坂道と共に必死の形相で振り向き、遅れていく鳴子を見守る。

 「ワイが言い出したのにな...
  約束...
  守れそうにな いわ」

 約束...
 それは、今泉、鳴子、坂道の3人が肩を組んで一緒にゴールすること...

   もう目もアカン...   
   脚も...
   体中限界や...
   ごっつい充実感や...
   けど
   ゴールくらいはこの目で見てみたかったな

 ガシャン!と派手にコースアウトし、ゴロゴロゴロところがってドサッと大の字に倒れる鳴子。
 見えない目で空に描くのは、総北176番の後ろ姿。
 空中に手を伸ばし、それをググッとプッシュ。

 「行け... 総北...」

 赤い弾丸は、初めてのインターハイを燃焼し尽くした。
 最後にド派手な輝きを放って...

 後半の、走りながら古い皮を脱ぎ去るように進化していく驚異の今泉、それとあの「執念の男」については次回に...。

 ところで。
 新開くんと田所さん!!
 結構仲良しじゃないですか~スプリンター同士。
 「迅くん」なんつったりして。

 「また追いつかれたな」
 「言うぜ新開」

 「いい勝負だった!!」
 「お互いにな!!」

 並んで走りながら、ガッと手を握り合う2人。

 でもこの2人はリタイアはしないんですね。
 
 「さぁてオレ達も登るか!!」
 「だな!!」
 
 補給食を食べつくした田所さんは新開にパワーバーを分けてもらい、仲良くモグモグやりながら並んで走っていくのであった。
 
 なんか嬉しいですねーこういう顔合わせ。
 この先もいろんな組み合わせでやりとりが見てみたい。

宇宙兄弟.JPG
 「ちはやふる」に続いて。
 「あさひなぐ」(なぎなた)、「ましろのおと」(津軽三味線)、「花よりも花の如く」(能)...と、日本の伝統シリーズでどんどん感想を書いたり紹介したりしていこうと思ってたんですが...。
 
 ...昨日、最新巻まで読み終わった「宇宙兄弟」1~17巻(小山宙哉著、講談社)。
 これが予想を超えてあまりにもよかったので、急いで手短に感想を書きます(きょうはあんまり時間がないので)。
 
 レンタルコミックで読んだので表紙絵の写真が撮れなくって、前になんとなく撮った月の写真を入れてみました。

 今春には映画化、アニメ化もされ話題となっていたようですが、これまで読む機会がなかった。
 タイトルの感じから、コメディーというかギャグタッチなんだろうかとかいろいろ考えてたんですが。
 4日間かけて17冊を読んで。
 その間、何度不覚にもじ~んと目頭を熱くしたことか。

 きますねー。
 南波兄の、一見いい加減で調子がいいようでいて、実は自由に、誠実に、そして真摯に世界と向き合っているところ。
 だから周囲の人々への誠意をもった熱いかかわりに、読んでいるこちらも自然と感情を移入して、熱くなってしまいます。
 モジャモジャ頭のせいか、坂本竜馬も実はこんなノリで激動の時代と向き合ってたんじゃないかな、とか思ってしまいました。

 物語は2025年に始まる。
 人類がユーリ・ガガーリン以来、2度目の月面への旅を実現させつつあるところ。
 ロケットに乗れば3日で着く、月。
 日本人で初めてそこへ向かう若き宇宙飛行士は。
 主人公ムッタこと南波六太の弟、南波日々人。

 幼い頃、2人で月に立とうと誓った兄弟。
 弟は確実に夢を実現させている。
 だが兄の方は宇宙への夢を諦めて会社勤めをしており、それも上司に頭突きをくらわせてクビになったばかり。
 
 しかし運命のいたずらか、歴史の必然か、彼の生は大きく方向転換し、弟に少し遅れて宇宙飛行士への道を歩み始めることとなる。

 その過程で行われていく、クセのある人々が一堂に会しての選抜試験。
 ここでじっくりと展開する人間ドラマに一度引き込まれると、もうどんどん読み進まずにはいられない。
 
 そしてどんどん読み進み、読者として感じた最初の大きな波は、日々人を乗せたロケットの月への打ち上げの瞬間。

 あやしいジイさんに拉致されるように連れて行かれた、現場からは少し離れた砂漠の一角の特等席で。
 世界を揺るがす震動、轟音、爆風、そしてまばゆい光。
 六太と一緒に私もそれを体感しながら、飛んでいくロケットを放心状態で凝視していたような気がします。

 絵柄は、スピード感や躍動感を前面に出すタイプではない、じっくり描かれた静止系という感じですが。
 空間、間、人物の微妙な表情が生きてる。
 (巻が進むに連れて特に)
 ということは、キャラクターがホントに生きてる。
 
 ケンジが娘の「かぺー」の意味を理解する瞬間。
 福田さんが祝福に駆けつけてくれた瞬間。
 ビンスとピコが拳を合わせた瞬間。

 せりかの父への追想。

 日々人を追う六太の物語が、ずんずん先へ進んでいくに連れて。
 心の奥深くをゆすぶってくれる、そんな場面が何度となく展開されます。

 正面から向き合って丁寧に読むべきシリーズだと思います。
 ハッ、とする台詞も豊富に出てきます。
 宇宙が好きな人なら、また、ノリがかるいようでいて実は深く熱いドラマが好きな人なら、ご一読をお勧めします。
 私も多分そのうち購入しそうです。

 18巻発売は、今月22日!
 あー、ちょうどいい時に17巻まで読んだ!
 (ちょっと長いけど、待ち時間が)
 ストーリー的には、心の中で手に汗握ってるところです。
 一刻も早く続きが読みたいです。

 そ~いえば、兄弟といえば。
 かの「タッチ」(あだち充著、小学館)から26年後の明青学園を舞台とした、野球漫画がスタートしたそうですね!
 わ~なんか、読みたいような読むのがこわいような...ですね。
 まあ、読むんだけど。多分。

ちはやふる.JPG
 例によって工務部のⅠさんに「なんか最近お勧めは?」ときいて教えてもらった、「ちはやふる」1~16巻(末次由紀著、講談社)。
 少年漫画、少女漫画、青年漫画を問わず、日本の伝統文化・伝統芸能・伝統武道等を正面からとらえた作品がこのところ多いような気がするなあ、と思っていたところだったので。
 早速、最新16巻まで読みました。
 (さすがにこんなペースで長編ばっかり読んでると経済的にもスペース的にも厳しいものがあるので、最近はレンタルコミックを利用してます...1巻は購入したんですが...)

 タイトルの「ちはやふる」は、「伊勢物語」の主人公にもなっているイケメン歌人在原業平の歌からとられています。

   ちはやふる神代もきかず竜田川からくれないに水くくるとは

 「千早振る」とは「神」にかかる枕詞であり、勢いのはげしい様を表す。
 すごく象徴的な言葉で、いいタイトルだなあと思います。
 (でも私がこの言葉を最初に覚えたのは、実は落語の「ちはやふる」でした...) 
 業平の歌は、紅葉が竜田川に散り敷き「唐紅」の織物のように水をくくり染めている、その風景の見事さを詠んでいます。
 主人公・綾瀬千早の目には、この札は真っ赤に浮かび上がって見えるのです。

 少女漫画を読んだのは久しぶりだったので(「海街diary」を除いて)、まず、
 おお! 目が大きい。
 というのが最初の印象でした。
 特にこの、1巻の表紙。
 あ~少女漫画だな~とつくづく見入ってしまいました。
 
 しかし。
 ひたむきさと根性がしっかり描かれているところは少年漫画と同じ。
 競技かるたって...完全にスポーツなんですね!
 読んでいてそれがひしひしと伝わってきます。

 美人でモデルの姉に、憧れながらもコンプレックスを抱いていた千早。
 転校生の新(あらた)、幼馴染みの太一という仲間をつくり、「チーム」としての絆の熱さを、その喜びを、「姉が日本一になること」ではなく、自分自身が自分のために抱く夢を千早に与えてくれた「競技かるた」。
 だが喜びは束の間、運命は3人を離れ離れにする。
 というのが小学生編。
 再び結びついていくまで、それぞれの上には違う時間が流れ、4年後、高校生になってからが本編です。
 個性的な女子2人、男子3人の競技かるた部。
 そこからの時間の流れは、濃密で熱い!
 遥かな高みを目指し、5人は全力で駆け上る!
 
 とんでもなく大きな目の美少女、ヒロイン綾瀬千早。
 外見と、ぶっとんだ中身がつりあわなくて、周囲からは「残念な美少女」とかいわれている。
 到達すべき確固たるビジョンを心に抱きながらも、自信喪失と自信獲得の間を振り子のようにスイングしながら果敢にひたむきに前へ進んでいく、その不安定さとピュアな気持ちの熱さが魅力です。

 この作品で私が特に好きなキャラは、珍しく女子。
 百人一首を競技の要素としてではなく純粋に和歌として愛する呉服店の娘、かなちゃんこと大江奏(かなで)。
  
 そうです、和歌は美しいです。
 一編のドラマが5・7・5・7・7のわずか31文字に凝縮され、リズミカルにうたわれるところが凄いんです。
 日本語は世界一美しい言葉です。
 千年の昔に編まれた百編のドラマを(千年、は経ってないか、800年ぐらい)。
 一首一首に秘められた物語を、味わわない手はありません。

 ...とかいいながら、かつては全部覚えたのに今や何首覚えてるかすら心もとない百人一首、この機会にちょっと勉強し直したいと、「こんなに面白かった百人一首」(吉海直人著、PHP文庫)を購入して読み直しました。
 や~これは面白いです。一首ごとのドラマを知りたい方にはお勧めです。

 で、私が今あらためて特に好きだなーと思った歌は。

 わたの原八十島(やそしま)かけて漕ぎいでぬと人には告げよ海人(あま)の釣舟

 おおい釣り人よ。
 おれは何十もの島々を巡る大海原への旅に漕ぎ出していった、と。
 あの人には、そう伝えてくれないか。
 海賊王に!! おれはなる!!!

 いやそんなことを言ってはいませんが。
 颯爽たる決意と大いなるロマンを感じさせてくれる、そんな歌に思われます。
 でも実はコレ、作者が島流しにされちゃう時の歌なんですよね~。

 作者は小野篁(たかむら)。
 遣隋使・小野妹子の子孫で、柳にカエルが飛びつくのを見て何事かを悟った小野道風のひいじいさんだそうです。
 この人がまた実に興味深い伝説を数多く持つ不思議なキャラクターで、その伝説の最たるものは、あの世とこの世を自由に行き来する術を身につけており、毎晩井戸を通っては地獄へ行き、閻魔大王の裁判の補佐をしていたとか...(鬼灯様だ!)。
 紫式部が愛欲を書いた罪で地獄に落とされていたのを取りなしてあげたという伝説もあるようです。紫式部もかたなしですね。

 反骨精神に満ちあふれていた彼は朝廷を批判する詩をつくったことから隠岐へ流されるのですが、この歌にはそんな哀れさはみじんもないですね。
 負けじ魂というか、詠みぶりにその反骨精神がにじみ出ているようです。
 その後許されて都へ帰り、要職を歴任していることから、有能さと存在感の大きさがうかがえます。
 
 児童文学の「鬼の橋」(伊藤遊著、福音館)は少年時代の彼を主人公にした物語で、大人にも、というか大人にこそお勧めです。機会があればご一読を。
 
 「ちはやふる」から話が逸れきってしまいましたが、競技としての勝負を描く面白さだけでなく、百人一首そのものの魅力にも言及されている奥深さが好きです。
 
 あと好きなキャラは、かるたクイーンの詩暢ちゃん。
 特に太っちゃった時の顔が好き。
 あんなクールな憎まれキャラなのに...(笑)。

 しかし、男子は「名人」なのになんで女子は「クイーン」って横文字なんでしょうね? しっくりくるのは確かですが。
 
 ともかく次巻、17巻は6月13日発売!! 
 もう間もなくです。
 楽しみですね~。 

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プロフィール

サト 日高新報記者。文化関係等の取材、編集整理、連載随筆や投稿原稿の編集を担当。空いた時間が少しでもあれば、本か漫画を読まずにはいられない。料理や洗濯をしながらも、可能な限り本を手離せない真性活字中毒。常に面白い本の情報を求めています。音楽や映画、歌舞伎など舞台芸術も大好きです。ひのえうま生まれの女。

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