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弱虫ペダル キャラの魅力を分析してみよう⑦ ~次はハコガク・後編~

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  「弱虫ペダル」(渡辺航著、秋田書店)のキャラクター魅力分析、箱根学園編もいよいよ最終回。
 今回は№1&№2、王者・ハコガクチームの要、エース福富とエースアシスト荒北の2人です。

 まずは№2、荒北くんからいってみましょう。

*荒北靖友

 3年生、タイプとしては多分オールラウンダー。
 レースでの主な役割はエースアシスト(インハイ2日目は変則的に、アシストのアシストに回ったけど)。
 黒くてまっすぐな髪。東堂や真波みたいに長くはない。
 目は細くてツリ目、三白眼ぎみ。瞳は点のように小さい。下まつ毛が細かくそろってるのが特徴といえば特徴。
 初登場の時はなんとなく優雅で、それでいて人の悪そうな感じ。「平安貴族の遊び人」のような、あるいは歌舞伎でいう「色悪」のような雰囲気を漂わせてたのに...巻が進むに連れてどんどんガラが悪くなっていった...(いや私はその方が好きだけど)。
 口も態度も悪い。
 「バァカ!!」
 と、口をでっかく開けて人を罵倒するのがほとんど口グセになっている。

 私は途中までずっと、悪役的キャラとの認識でみていました。
 敵のチームのナンバー2だし、人が悪そうだし、実際主人公の総北側の気に触ることばっかりいうし。
 そういう単なる憎まれ役の域を脱して、初めて内面が詳しく描写されるのは12~13巻、インハイ1日目のゴールゾーンで。
 ここで、荒北の皮肉っぽいどこかさめたキャラは一変する。

 さめた顔の裏に隠れていた獣性がグワッ!と剥き出しになり、荒々しいことこの上ないライドを展開。
 とにかく速い!!
 倒れる!というくらい車体を傾け、ヘルメットでガードレールを擦るようにカーブを回る。並み居る観客をなぎ倒しかねない勢い。
 
  ジャマなんだよ!! 
  ワーギャー騒ぐなっつんだよ!!
 (「ガンバレー」と声援を送る女性の観客にも)
  ガンバレじゃねーよ
  おめーががんばれ ボケナスが!!

 肚の中で毒づく荒北。 

  傍観者が!!
  オレはここまで一人で来た
  たった一人の力で この大舞台まで登ってきたんだよ!!
  見てるだけのヤツにがんばれ言われる筋合ねーよ!! 

 そして、ちょっと違うトーンで、

  オレが認めるのは福富だけだ
  なァ...  
  福ちゃん!!

 「たった一人の力でこの大舞台まで登ってきた」
 この、荒北の内心の独白。
 ここで思い出されるのは、去年の夏のインターハイで福富が金城に言ったセリフ。      
 「レース中敵を退け前に出る時 ゴール前のスプリントで勝利を勝ちとる時 頼りになるのは何だ...地面をけり前に進めるのは誰の力だ 自分の力だ」

 キャラクターは全然違うけど、相通ずるものがあったんだろうか? この2人。
 「オレが認めるのは福富だけだ」に至る、何らかの出来事があったんだろうか?
 でもそれについての詳しい考察は、この次の福富さんの項目に譲ります。
  
 こんな荒北くんのさらに隠された一面が読者の前に明らかになるのは、15巻、新開くんの過去にて。

 2年生の秋。
 レース中にウサギをひき殺してしまったトラウマで「敵の左側が抜けない」ことを同級生3人に告白した新開。
 荒北の反応は、

 「つーか重要な話つうから来てんのにそんなことかァ!? んなことで今まで部活サボってたのかよ ったく来年ゼッケンゆずるだぁ? まだなんも決まってねーよ バカ 調子のんな 実力でもぎとんなきゃゼッケンはいただけねェんだ てめェにゃスプリンターとしての才能があんのに何捨てようとしてんだ ボケ...ナスが!!」

 言い方はめっちゃ乱暴なのに、あれあれ、実はいいコト言ってる...。

 そして現在に戻り、インハイ2日目。
 新開の弱点をしつこくあげつらう京都伏見・水田を「ぐだぐだるっせーよ2年ボーズ! 御堂筋気取りのパチモンが!!」と一喝。

 「あんなァ あいつはやる時ゃやるんだよ!!」

 と凄んでビビらせる。
 荒北くんがこんなにストレートに仲間への信頼を口にするのは、これが初めて。
 私こーゆう、ワル役が実はいいヤツだったってのに弱くって、ここでちょっと荒北くんのファンになってしまったのでした。
 
 そしてとどめは16巻。
 例の、京都伏見を追って福富&東堂が先行、4人があとに残された状況。

 新開は御堂筋との全力スプリントに敗れた直後で、うなだれて最後尾を走る。
 そのすぐ前を走る荒北も、顔を上げずにスローペースで走り続ける。
 「福富さんに『お荷物』だと捨てられた...」
 と思い込んで動揺してる泉田は、その2人の姿を見て、てっきり絶望と疲労でダウン寸前だと思い、熱血漢ぶりを発揮して叫ぶ。

 「新開さん!! 荒北さん!! 顔を上げて!! 気をしっかり!! 心を強くもって!! ボクがついてます!!」 

 すると...。

 「てかこのくそ暑いのに大声うるせーんだよ泉田!! なお暑くなるじゃねーか
 バァカ!!」

 細目をつり上げ口をでっかく開けて、いつものように泉田をバトウする荒北。
 「こっちはボロボロの新開さんざん引かされてくたくたなんだよ ったく 夏にインターハイやるなよ 疲れるからァ!!」
 と無茶を言い、泉田も気圧されて思わず「あ...はいすいません」と謝ってしまうのだった。
 荒北の毒舌はそこでとまらず、
 「ったく こいつが負けて帰ってくるからわりィんだよ チームの雰囲気悪くなっちまうしよ 京伏には先行かれちまうし 自信満々で飛び出して負けんなよカァッコわりイ サイアクだよこの おめーのせいだよこのダメ4番!!」
 「ちょ...言いすぎ」と新開を案じて慌てる泉田だが、顔を上げた当の新開は、まだ髪や顔に大量の汗をしたたらせながらも、すでにいつもの不敵な笑みを浮かべていた。

 「いやぁおかげでだいぶ回復させてもらってるよ!! ありがとよ靖友」
  
 「ハッ!! るっせ 礼とかキモいんだよ!!」

 荒北はここで内心ずいぶん安心したハズだと思うんだけど、そんなことはひとっかけらも顔には出さないで、やっぱり遠慮も会釈もなくバトウするのであった。

 他の選手を引いて走るのって、ただ単に先に立って走りゃいいってもんじゃないんですね。相手の最適のペースを考える必要がある。
 3年間共に走ってる荒北くんだから、新開くんのこの状況での最適のペースもわかっていて、ちゃんと短時間に回復できるよう引き続けられたってことでしょうか。
 「全力スプリントのあとここまで走れるようになったのはおまえのおかげだと思ってる 引くヤツがおまえでよかった」
 と、相変わらず補給食をモグモグやりながら、素直に荒北に感謝する新開。
 その感謝の言葉にも、荒北くんはやっぱりでっかい口を開けて「るっせ ホメんな!!」とうそぶくのでしたが。

 そして...
 真波の引きで、福富たちへの追走を開始するハコガク4人。
 そこで、泉田は心の重荷になっていた疑問を初めて口にする。
 「福富さんはボクらのことをお荷物といいました それはついてくるなという意味じゃないんですか」

 荒北は振り返り、叫ぶように答える。

 「バァカかおめーは 逆だバカ お荷物のつもりかよ!! あれは...」

 「箱根学園のシングルゼッケン背負ってんだったらつべこべ言わずについてこいって意味だ!!」

 シングルゼッケン。
 それは前年のインターハイ覇者にのみ与えられる、1ケタ台のゼッケン。
 ハコガクチーム6人は1~6番のシングルゼッケンを背負って走っている。
 それこそが、最強チームの証。

 そう言って泉田を開眼させた荒北は、はるか前方に向かい、
 「ったく福ちゃん!! てめェの要求はいつも過酷過ぎんだよ 疲れるじゃねーか鉄仮面!!」        
 そして...軽快な車輪音を立て、トップに追いついて京都伏見の度肝を抜き、最強チームの貫禄を見せつけたハコガク4人。
 真波は福富に「さっき荒北さん鉄仮面っていってましたよ」と、ニコニコ言いつける。「てめェ真波コラ」と慌てる妙にカワイイ顔は、荒北のさらにもう一つの顔といっていいかもしれません(笑)。

 荒北くんでこんなにも長々書くとは、自分でも思わなかったな~。
 それだけ一筋縄ではいかない複雑なキャラクターといえるかもしれませんが、実はまだ荒北くんの「胆」をつかみきってない感じがするんですね、私。まだ、そう簡単には総括できない。
 実をいうと福富さんもそうなんですが。
 まだ何か抱えてる気がする。
 そう思う根拠は、2人ともまだ単独で表紙を飾っていないってことなんだけど。
 (荒北くん、今のところは残念ながらこの13巻の裏表紙しか単独のカラー画がない...も~ちょっとカッコいい絵を出したいけど...ま~、この絵も性格は出てるけど)
 次の18巻はぼちぼち福富さんが表紙なんじゃ?という気が、実はしてますが。

 最初に「いよいよ最終回」とか書いといてナンですが、最後の1人、福富主将は次回に...。
 チーム総北とチームハコガクの比較も併せてやってみたいです。

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コメント(2)

サト様 はじめまして、こんにちは。
弱虫ペダル人物考察を楽しく拝見しています。
もっと世に広めたい漫画ですよね! アニメ化を切望します。
(秋田書店の営業ガンバレ)
18巻が発売されたら、是非また感想をお願いします。
原作もサト様の感想も、どちらもとても楽しみです。

コメントありがとうございます。うれしいです!
18巻ももうすぐ発売のようで、待ち遠しいですね。
読んだらすぐに感想書きたいなーと思っていますので、お読みいただけるとうれしいです。

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プロフィール

サト 日高新報記者。文化関係等の取材、編集整理、連載随筆や投稿原稿の編集を担当。空いた時間が少しでもあれば、本か漫画を読まずにはいられない。料理や洗濯をしながらも、可能な限り本を手離せない真性活字中毒。常に面白い本の情報を求めています。音楽や映画、歌舞伎など舞台芸術も大好きです。ひのえうま生まれの女。

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