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弱虫ペダル キャラの魅力を分析してみよう④ ~やっぱ2年も~

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 濃いキャラが続々登場する「弱虫ペダル」(渡辺航著、秋田書店)ですが、そんな中で、主人公の坂道たち1年生やそれを指導する3年生の陰に隠れて全然目立たなかった2年生。6巻の合宿に至って、ようやく顔と名前がハッキリしてくる2人(あと2人いるけど、合宿には参加していない)。
 この2人、手嶋・青八木コンビもやはり総北高校自転車競技部になくてはならない存在だと思えるので、やっぱり紹介しましょう!
 しかしこの2人のキャラクターをこと細かに紹介するということは、6~7巻の中身を詳しく紹介してしまうことになっちゃうんで、これから「ペダル」を読もうと思っててまだ読んでない方、今1~5巻を読んでるという方はぜひ先に6~7巻をお読みになってくださいね。
 
*手嶋純太

 初登場時はかなり細かいウェーブのパーマ。鳴子はパーマセンパイと身もフタもない呼び方をする(でも合宿後にはちゃんと手嶋さんと呼んでる)。
 大きな目、でも黒目はそんなに大きくない。
 中肉中背。
 どこか屈折した感じのさめた笑いを浮かべながら、今泉たち1年生の「エリート」に対して自らを「凡人」と自嘲的に語る。
 (中学時代には1つ下の今泉とよく同じレースに出ていたが、常に表彰台にいた今泉に引きかえ順位はずっと下で、今泉はまったく覚えていなかった)
 しかし実はかなりの負けず嫌いでプライドも高い。
 だからこそ、歯を食いしばって頑張っても結果が出ない自転車競技を一度はやめようとした。「優勝できないなら意味ない」と。
 でも高校で青八木と出会って、続けることを決意。
 頭がよく、作戦を立てて頭脳的な走りをする。
「アカンで このパーマさん メッチャ策士や!!」(by鳴子)             
*青八木一(はじめ)

 髪は茶色。前髪が長く左目が隠れてて、のぞいてる右目はキョロッと大きい(右と左は角度によって変わるけど)。この感じ、だれかを思い出させる。あっキタローだ!(小学校の時、好きだったんですよねー。髪が逆立って針になってピュンピュン飛んだらいいなあとか、一反もめんに乗って空を飛びたいなあとか思ってました)。
 非常に寡黙。口元をいつも小さなへの字型に結び、ほとんどしゃべらない。
 鳴子は「無口センパイ」と身もフタもない呼び方をする(でも合宿後はちゃんと青八木さんと...呼んでたっけ? 大体この子、単独で名前を呼ばれることがあんまりないんですよね~「手嶋さんたち」とか...)。
 寝る時はまっすぐ仰向いて寝息も立てず、手嶋が「ホントに寝てるのか?」と心配するほどであった(in合宿)。
 頭を使って自分の走りをマネジメントするのは苦手だが、ここ一番の走りには定評がありフォームは完璧。1年生の個人練習ではフォームの崩れてる桜井の手本となって走った。
 
 さて、高校入学後のこの2人の軌跡に関しては、2人単位で見ていかねばなりません。自転車競技における「運命共同体」となった2人だから。

 入学式の日。
 高校ではもう自転車はやめようと思っていた手嶋の目の前を、青八木は斜度25%の激坂・裏門坂を黙々と自転車で登ってきた。
 手嶋が興味を持って話しかけ、名前をきいてもすぐには返事をしない青八木。口ごもりながらようやく「青八木...は...はじめ...」と答え、指を1本立ててちょっと赤くなりながら「いちばんのいちだ」。
 集団の中では目立たなくとも、あふれる才能はなくとも心は高みを目指している、という「同じスピリッツ」を互いに感じた手嶋と青八木。一緒に自転車競技部に入り、上を目指すことになる。
 1年生の夏。インターハイの現場で熱気に圧倒され、熱さに魅せられ、「出たい!! あのレースに!!」と情熱を燃やす2人。
 「けど今の成績じゃ 1人じゃ限界が...」
 という手嶋に、青八木は言った。
 「だったら」ちょっと赤くなって指を2本立て、「2にするか」
 見つめる手嶋にさらに言う。「出よう 2人で」
 「2人...2人で 2人でなら」
 こくっとうなずく青八木。
 「チーム2人だ!!」
 がしっ、と手と手が握り合わされる。
 100%の信頼、絶対なるチームワークを誇るコンビの、これが誕生の瞬間であった。     

 共に必死に練習し、研究して戦略を練り、高め合う2人。
 その彼らを指導し手塩にかけて1年間鍛え上げたのが田所。
 きらめく才能はなくとも根性のある2人は、過酷な練習メニューに泣き言もいわずについていき、確実に力をつけていった。
 そして手に入れる、2人だからこその「最良の形」。
 体型も走りのスタイルも3人3様の1年生トリオ、3年生トリオとは違って、体型も多分走りのタイプもよく似た2人だからできる。
 呼吸と体動を完全に合わせ、極限まで接近して走る「同調直列走法(シンクロストレートツイン)」。
「あれはあいつらにしかできねェ あれは速い!」と田所も太鼓判を押す走り。
         
 合宿における1年生vs2年生のバトルのテーマ。
 それは、「エリートvs凡人」。
 「凡人がエリートを食えるってことを証明する」
 2人の意地とプライドを賭けた走りが、インターハイメンバーを賭けた合宿の勝負で炸裂する。
 1年間、血の滲むような練習を重ね、着実に成果を上げてきた。
 ここで1年生なんかにその座を渡すわけにはいかない。

 でもそれだけじゃない、彼らが絶対に負けられない理由。
 それは。

「田所さんと出られるインターハイは今年が最後だ」(青八木)
 
 自分たちを鍛え上げ、念願の熱い舞台が夢じゃなくなるかもしれないところにまで来させてくれた。
 その人と、最高の舞台で共に走りたい。

 私は坂道たち1年生3人の走りをこれまで見てきて、彼らに十分魅せられていながらも、ここへ来て本気で2年生2人を応援してしまいました。
 本当~に、彼ら2人には勝ってほしいと思った。
 しかし...

 2人の肉体の方が限界を迎えてしまうという、無念の結果。
                
 そんな2年生には気づかず、1年生は先にゴールラインを突破したことにホッとしてさらに周回数をかせごうと走り去っていく。
 残されて倒れ、それでもなお走ろうとする手嶋、青八木。
「もう十分だ 手嶋...青八木!!」
 無理やり立ち上がった2人を、両腕で胸に抱え込むようにして止める田所。
 (田所さん、でかっ!!と思う1コマです)
「これ以上走ったら致命傷になる」
 その瞬間、手嶋の大きな目からは涙があふれ落ちる。
「でもオレたちは...オレたちは インターハイのために準備して 練習して...田所さんに教えてもらって...」
 捨て身の勝負に出て敗れた2人を抱え込んだまま、田所はこう言う。
「ゴール前でおまえたちは 全力の勝負をした 自分たちのマージンを捨ててまで 本気の勝負をしたんだ」
 そして、

「その判断は正しい 闘いから逃げるヤツは強くなれない オレはふるえたぜ...」
  
(これは黄金の言葉だと、わたしゃ思いましたね。この一言で私は、田所さんに惚れました)
「今は休め おまえたちにはもう1年ある 今のおまえらなら 2人だけでも強くなれる」
 手嶋と青八木、そして田所の目からも、涙はとめどなく流れ落ちるのだった。
 
 両脚の肉離れで合宿をリタイアした2人。
 それを聞いて駆けつけ、「自分たちのせいで...」とぼうぜんとする1年生3人。
 だが「仕掛けたのはオレたちだしな」と手嶋は笑い、「すげー 胸がえぐられるほどくやしいよ」と言いながらも、「だから絶対」と叫ぶように言う。
「インターハイで勝ってこい!! オレたちを!! 総北を!! 田所さんたち3年を 表彰台に上げてこい!! それができなければ 戻ってくるな!!」
 ぼすっ、ぽすッ、ぼす、と1年生3人の胸にこぶしを当て、思いを託すのであった。

 そうして迎えた真夏の熱いレース、インターハイ。
 全国47都道府県から猛者が集う、最高の舞台。

 選手たちを補給やメンテナンスで支える手嶋と青八木。
 手嶋くんはパーマもゆるやかになった髪をキュッと後ろで結んで軽快な感じ。顔もふっきれたように明るく、もう屈折した雰囲気は残していません。なんだか別人のようになっていて、坂道達とのあの死闘は彼にとって成長するために必要なステップだったんだとわかります。
 青八木くんは...この子はあんまり変わってないな。まあ元々内面が外面にあんまり出ない子だから。でも、ほとんどしゃべらなくても手嶋の言葉に合わせて「こくり」とうなずく、このポーズは妙にカワイイ。

 この2年生2人の存在があるから、物語はぐんと厚みを増したと思います。
 表舞台に出るメンバーは、出られなかったメンバーの熱い思いをも背中に背負って闘っているのだ、と。
 
 さ~、最新17巻は5月6日発売だ!
 16巻から2カ月足らず!
 早くてうれしい!!

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プロフィール

サト 日高新報記者。文化関係等の取材、編集整理、連載随筆や投稿原稿の編集を担当。空いた時間が少しでもあれば、本か漫画を読まずにはいられない。料理や洗濯をしながらも、可能な限り本を手離せない真性活字中毒。常に面白い本の情報を求めています。音楽や映画、歌舞伎など舞台芸術も大好きです。ひのえうま生まれの女。

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